ぶっちゃけ、ネットで政治は変わるのか? 家入流選挙が再定義した「対話の政治」
参院選からのネット選挙解禁が決まった昨年4月、筆者は知人の紹介で、東京選挙区で3選を目指した民主党の鈴木寛・元文科副大臣(通称;すずかん)の陣営に広報スタッフとして参加した。ネット選挙実現を十数年提唱してきた本人のアイデアで、新宿の街中にトレーラーハウスのネット選挙スタジオを設置。筆者は、情報社会学者でもある鈴木氏の教え子たちとその運営にあたり、大前研一氏や藤原和博氏、宮台真司氏らそうそうたるオピニオンリーダーを招いての対談を連日中継した。
政治コンテンツのエンタメ化
鈴木陣営の取り組みは注目を集め、初のネット選挙の「事例」としてのメディア露出は群を抜いていた。しかし民主党への強烈な逆風を跳ね返すには力不足で結果は落選。今なお悔いが残る。
参院選終了後、他陣営の取り組みをあらためて振り返ったが、ネット時代を象徴する2つの事例が印象に残る。ひとつは自民党によるビッグデータの存分な活用。ソーシャルメディア上の“世論”の動きを分析し、候補者に対して配布したタブレットを通じ、演説内容の助言を行った。今、思えば選挙前に、憲法96条先行改正論が引っ込められたのも、そうした世論分析をしたうえでの判断だろうか。
もうひとつは政治コンテンツのエンターテインメント化。渋谷駅前を大勢の人で埋め尽くした「選挙フェス」は覚えている人も多いだろう。緑の党の比例代表から立候補したミュージシャンの三宅洋平氏が、ライブ仕立ての街頭活動を渋谷駅前で敢行し、ネットでも中継。結果こそは落選したものの17万票も集めた(プロの演奏披露が公選法で禁じる利益供与にあたるとの見方もある)。
しかしネット選挙幕開けの参院選では、東京などの一部では「情報戦」とも言うべき激しい局地戦(次回書きます)があったものの、候補者も、有権者も、そして取材するメディアも、どのように活用すればいいのか全体としては手探りだった。そうした中、猪瀬前知事の辞任で、出直しの東京都知事選が行われることになり、筆者は告示日直前に家入一真氏の陣営に加わることになった(その顚末は私のブログで)。
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