第三のビール「のどごし」が「金麦」に敗れた事情 広告宣伝費の減少とトレンド変化が直撃

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各社にとって新ジャンルは、2020年も重視していく市場だ。2018年の新ジャンルの販売数量は前年比7%増の1億5000万ケース、ビール類市場の38%を占めた。ビール類全体の販売数量が落ち込む中で、毎年ほぼ35%を占める手堅い需要がある。

現在、ビールに対して77円(350mlあたり、以下同)、発泡酒に対して46.99円、新ジャンルに対しては28円の酒税がかかっている。ただ、この酒税の差は2026年に向けて段階的に一本化されることが予定されている。2020年10月には第一段階として、ビールは7円下がって70円となり、新ジャンルは約10円上がって39円になる。

酒税改正前の駆け込み需要を見込む

各社が見込むのが第一弾の酒税改正前の駆け込み需要だ。新ジャンルの酒税の方が低い状況がしばらく続くため、サッポロビールは2月、アサヒは3月に相次いで新商品を投入する。ビール類出荷数量のうち約7割を新ジャンルが占めるサントリーは、金麦ブランド強化を一層進めるとみられる。

1月8日の事業方針発表会で、キリンビールの布施孝之社長(記者撮影)

キリンは麦風味でコクのある本麒麟の販売が好調で、2019年は前年比60.6%増の1510万ケースを販売した。2020年も同26%増の1900万ケースの販売を目指す。のどごしブランドについては、「本麒麟の伸びを帳消しにしない程度の減少にとどめる」(キリンIR)とする。

キリンは新ジャンルの分野で、巻き返すことができるか。のどごしの落ち込みは防げそうにないが、当面は本麒麟とPBを含めた全体での勝負に持ち込む構えだ。

兵頭 輝夏 東洋経済 記者

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ひょうどう きか / Kika Hyodo

愛媛県出身。東京外国語大学で中東地域を専攻。2019年東洋経済新報社入社、飲料・食品業界を取材し「ストロング系チューハイの是非」「ビジネスと人権」などの特集を担当。現在は製薬、医療業界を取材中。

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