「成長はコメを食べるアジアにあり」--クボタがタイ生産を拡充へ《NEWS@もっと!関西》
農作業機の国内トップ企業クボタが、タイでの生産拡充に乗り出す。2010年中にタイ現地のトラクター生産能力を現状の年産2.5万台から5万台に増強する。また2年以内をメドに、コンバインの現地生産を開始。並行して、研究開発拠点の設置も視野に入れる。
クボタの富田哲司専務(機械海外本部長)は、「これまでクボタの成長を牽引してきた北米や国内は市場鈍化の基調にある。逆に、アジアの今後の伸び率はダントツ。ここで、どうやって販売を伸ばしていくか。そのためには、成長をつくりだすためのストラテジーが必要だろう」と語った。
世界のコメ生産量のおよそ9割を占めるアジア市場は、同社にとって最重要地域と位置づけられる。09年3月期売上高1兆1075億円のうち海外での内燃機器販売(トラクターなど農作業機)の比率は47%。そのうち20%がアジアでの売り上げだ。特にタイは約800億円の売り上げと最も多く、今後も農作業機の需要拡大が見込まれる。タイでは農作業の担い手が急速に減っており、人手不足から機械化需要が高まっているのだ。
クボタは現在、現地メーカーとの合弁工場で30馬力と36馬力のトラクターを生産。10年には45馬力以上の機種をあらたに量産する計画で、設備増強やラインを現状の1直から2直に増やすことで対応する。同時に、インドやベトナムへの輸出も開始する。
一方のコンバインはこれまで、中国で生産したものを輸入していたが、工場を建設し現地生産に切り替える。投資額約20億円。13年にも1万3000台規模の生産を目指す。タイなどアジアでのスタンダードタイプである長粒種の刈取り・脱穀に適した「汎用型」と呼ばれる機種を生産する。コンバインもトラクターと同様に、タイからインドなど他地域への輸出を見込んでいる。
また、研究開発拠点を設ける構想もある。その狙いについて、富田専務は「タイでの販売は、これから拡大する。現地ニーズに即した製品を出すためには、R&Dのしっかりしたベースを持たないといけない」「コンバインはコメだけでなく、とうもろこし、麦などの作業にも転用できる。(現地での開発を強化することで)作物適用性を拡大することが大事」と説明する。
タイにおけるクボタの市場シェアは、トラクターで約7割。コンバインの中型機種ではほぼ独占状態。ただ、今後は現地メーカーとの競争激化が想定される。タイでの売上高を13年には1800億円と、08年比2.3倍に伸ばす狙いだが、目標をクリアするためには今回描いた成長戦略を確実に実行していくことが不可欠だ。
(梅咲 恵司=東洋経済オンライン)
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