小林武史さんが本気で農場経営に乗り出すワケ

「ap bank」スタートから16年、変わらぬ思い

小林武史さんが目指すものとは?(撮影:梅谷秀司)
2003年に、環境プロジェクトへの融資を行う非営利団体「ap bank」を設立。野外音楽祭「ap bank fes」や、東北の被災地が舞台の音楽とアートの総合祭「Reborn-Art Festival」を開催。そして2019年11月には、今までの活動の集大成として、千葉県木更津市の広大な敷地に体験型ファーム「KURKKU FIELDS」をオープン。
これらの活動を率いてきたのは、音楽プロデューサーとして活動する小林武史さんだ。
日本で前例のない大規模有機農業に挑戦した理由は。また、現場で働く若者達の採用と育成など、前代未聞のプロジェクトのマネジメントはどうしているのか。前回記事に続き、小林さんに話を聞いた。

――先日、木更津に取材に行きました。30haという広大な農地で有機栽培などを続けているのは、現場で働く優秀な若者たちの力によるところも大きいのではと感じました。

彼らにはいつも支えられています。最初に手を挙げてくれたのは、「ap bank」で一回働いていたことがある男性です。「命をかけて農業を頑張りたいんです」と言ってきてくれました。でもその人がしばらくして辞めてしまって、後を引き継いでくれたのが、いま農場のリーダーをやってくれている伊藤雅史です。伊藤は、僕がやろうとしているサスティナビリティの厳しさも理解したうえで、木更津の農場に根を下ろしてくれた、初めての人間ですね。

協力者と居酒屋で言い合いになったことも

――有機農業はどのようにして学ばれたのでしょうか。

有機農業と一口にいっても、規模や土地によってバランスの取り方がありますから、まずは詳しい人たちにいろいろと話を聞きました。その中で一番お世話になったのは、山形のアル・ケッチァーノの奥田政行くんから紹介してもらった、高知の山下農園の山下一穂さんという方です。残念ながら2年前に亡くなってしまったのですが、山下さんから有機無農薬野菜栽培のイロハを教えてもらいました。

ただ、山下さんは持論がはっきりしている方で、まずは小規模でもいいから多種多品目栽培で、儲からなくてもやってみる覚悟が大事という意見でした。でも僕は、若者が就農してそのまま定着してもらうために、農業法人としての経済性も維持していきたいと考えていた。だから、山下さんとは意見が食い違って、居酒屋で言い合いになったこともありました(笑)。

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