小林武史「生きる実感を得るためにできること」 音楽プロデューサーが本気で挑む第二の活動
日本人もそろそろなんとかしなきゃいけない
――活動は、ミュージシャンの坂本龍一氏と桜井和寿氏の3人で出し合った資金をもとに2003年に設立した非営利団体「ap bank」の活動から始まりました。その経緯についてまず教えてください。
直接のきっかけは、2001年9月11日に起きたニューヨークの同時多発テロです。僕はあの当時、ニューヨークのスタジオでも音楽活動をしていたので、非常に大きな衝撃を受けました。
マネーゲームのようなアメリカ的な資本主義経済と、そうでない国とのぶつかり合いは、その前からもありましたが、まさかあれほど派手な攻撃が起きるとは思わなかった。
エネルギー問題、環境破壊、テロ、戦争……、これらは資本主義経済に端を発した、負の連鎖だとも思っています。それを断ち切るために、一個人として何ができるか考えるようになりました。
僕は、富や権力に反発したジョン・レノンやボブ・ディランの歌を聞いて育った世代でもあり、日本人もそろそろなんとかしなきゃいけない、と本気で思いはじめた。そういうことを、ニューヨーク在住の坂本さん達と話し合っている頃に「未来バンク」をやっている田中優さんと出会って、「市民バンク」の存在を知ったんです。
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