僕が"3.11後の物語"を作ったワケ 『家路』久保田直監督が切り取る"フクシマ"の今

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3.11から3年、何が変わったか

――園子温監督が2012年に、原発事故をテーマにした『希望の国』を作った際には、なかなか出資者が見つからずに、最終的に外国資本に頼ったといいます。この映画では日本の会社が出資に参加しています。あれから1~2年経って状況は変わったのでしょうか?

園さんの『希望の国』は完全に反原発を打ち出した映画でした。彼の制作ノートを見てもはっきりとそう書いてありましたし、実際に現地の人と会って、現地の人が言った言葉をセリフにしたということですから、それがあのときの彼のやり方だったと思うのです。そのことに対して、出資者が尻込みするということはわかります。

われわれの場合も制作には時間がかかりましたが、それは単純に出資者が見つからなかったからです。出資者に説明をするときにも「福島を舞台にした映画ですが、反原発や脱原発をうたうわけではなく、描きたいのはもっと普遍的な家族のことです」と説明しました。実際に脚本を読んでもらった人もいましたが、「気持ちはわかるけども、今、福島を舞台にするということだけで難しいのです」ということで、出資を見送られた方もいらっしゃいました。そこはかなり苦しかったというか、特に劇映画を作ること自体が初めてだったので、余計に難しかったですね。

――そういった状況の中で、映画化に進んだのはどういったきっかけがあったのでしょうか?

やはり配給会社が決まったことが大きかったですね。さらに配給会社の方が、WOWOWの担当者の方と接点があったので、それをきっかけに話が進んでいった。最終的には外国の資本に頼ることなく映画を作れる状況にはなりました。あくまでも家族の物語ということで出資をしてもらえたと思います。そういう意味では『希望の国』とはケースも違いますし、映画そのものの内容も違うと思います。

――本作には、是枝裕和さん、諏訪敦彦さんと、ドキュメンタリー出身の映画監督たちが「企画協力」としてクレジットされていました。

今の会社(株式会社ソリッドジャム)を立ち上げる前、僕はドキュメンタリージャパンという制作会社にかかわっていて、そこでは諏訪さんや、(『いつか読書する日』などの)緒方さんたちと一緒にドキュメンタリーを作っていました。みんな同世代で、わりと仲良くやっていました。そんなことから、今回は諏訪さんにいろいろと協力してもらったということなのです。是枝さんに関しては、テレビマンユニオンという制作プロダクションにいた彼とは、若いときから一緒に仕事をしたりして、よく知っていました。

そんな中で2人に「今度ちょっと映画を作るんだけど協力してくれない?」と話を持っていきました。彼らは「できることは何でもやるよ」と言ってくれました。本当はプロデューサーとしてかかわってほしかったのですが、彼らもいろいろと忙しかった時期だったために、その時間がとれなかった。今回は企画協力という形で手伝ってもらうことになりましたが、脚本に関しても「こういうほうがいいんじゃない?」といった形で相談にのってもらいました。

(c)2014『家路』製作委員会
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