「震災の傷はいつか癒える」は間違い

君塚良一監督と原作者・石井光太が語る

東日本大震災直後の遺体安置所での人間模様を描いた映画『遺体 明日への十日間』が封切られた。舞台は岩手県釜石市の廃校となった旧釜石第二中学校の体育館。次々に運ばれてくるヘドロだらけの数多くの死体を、一体づつ洗い、丁寧に並べ、検案して、遺族を捜し、遺族に声をかけ、納棺し、火葬場へと送り出す、遺体安置所で働く人たちの姿が描かれている。
主人公は、遺体安置所でボランティアをし、来る日も来る日も遺体や遺族に声を書け続けた60代の男性。そのほかにも、遺体の検案をした医師、身元確認のため歯形を確認する歯科医やその助手、市役所職員らが、遺体安置所で「死」に向き合い、亡くなった人の尊厳を守ろうとした。
今回、映画『遺体 明日への十日間』の公開を記念して、東京都のシナリオセンターで君塚良一監督と原作者でノンフィクション作家の石井光太氏の特別公開対談が行われた。東日本大震災から2年が経とうとしている中、君塚良一氏や石井光太氏は何を思うのか。

「いつか傷が癒える」という間違い

石井光太(以下、石井): 映画『遺体』の原作となった『遺体 震災、津波の果てに』(新潮社)を書いた後も、舞台となった岩手県釜石市の遺体安置所のその後を描いたり、被災地取材は続けています。

東日本大震災の犠牲になった人の「傷が癒える」という言葉があります。だけれども僕は、時間が経ったからといって、被災者の傷が癒えるということはないと思うのです。

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