「信念のない言葉」は周囲の人に必ずバレている あなたの言葉で人が動かないのはワケがある
反対に、上司が思いつきの発言をしたり、「こんなことをいえば、部下に気に入られるだろう」とその場で調子を合わせたりすると、その言葉には信も誠もないので、部下を動かすことはできません。
みなさんも昔は誰かの部下だったことがあるでしょうから、これまでに何度かは「上司の発言に信や誠がない」と感じたことがあるのではないでしょうか。そう感じる理由は正確にはわからなくても、「信」や「誠」のなさは、なんとなくわかるものですよね。
そもそも上に立つ人の言葉は「重い」(だからこそ、一度口にしたことは、簡単に取り消すことができない)のですが、言葉に重さを与えているのが、信念と誠実さです。人に自分のいうことを聞いてもらおうと思ったら、熟考を重ねたうえで、リーダーは自分の言葉に責任を持って、信念と誠実を尽くさないといけないのです。
部下を信頼するほうが「結局、得をする」
人間は感情の動物です。
たとえ上司が自分の感情を隠して、どの部下とも平等に接しているつもりだとしても、部下は「上司が自分のことを好きか、嫌いか」はほぼ見抜いているものです。
以前、講演会で登壇したとき、100人ほどいた参加者に向かって、次のような質問をしたことがありました。
「上司は、部下に対する好き嫌いをなるべく表に出さないようにして、感情を隠そうとします。ですが、隠そうとしたところで、『この上司は、私のことが好きだ』『この上司は、私のことが嫌いだ』ということがみなさんには何となくわかるのではありませんか? 上司が自分のことをどう思っているのか、わかると思う人は手を挙げてください」
「わかる」と手を挙げた人は、何人いたと思いますか?
ほぼ100人全員でした。
いくら隠しても、上司の感情は、部下に筒抜けになっています。つまり、好き嫌いを隠すことに意味はない、ということです。
そうであれば、好き嫌いを隠すよりも、好き嫌いに関係なく部下には公正(フェア)に接することのほうが大切だということになります。
僕も、好き嫌いの激しい人間です。ですが、そうした感情とは別に、好きな部下でも、嫌いな部下でも、分け隔てなく公正・平等に接することを心がけてきました。どんな部下でも使うのが、優れた上司の条件だと思っているからです。
僕は基本的には、どんな部下でも信頼したほうが得だと考えています。仮に裏切られたとしても、信頼したこちらが悪いと割り切ればいいのです。
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