「信念のない言葉」は周囲の人に必ずバレている あなたの言葉で人が動かないのはワケがある

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リーダーが道理に合わないことを一言でも口にすれば、部下の心はバラバラになり、組織を支えることができなくなります(写真:xiangtao/PIXTA)
立命館アジア太平洋大学<APU>学長・出口治明氏(新著に『座右の書『貞観政要』』がある)が「座右の書」にしている中国の古典『貞観政要【じょうがんせいよう】』。唐の第2代皇帝の太宗【たいそう】(李世民)の言行録であり、帝王学の教科書ともいわれる中国の古典です。そこに書かれている「信」(信念、信頼)というテーマについて解説します。

上に立つ人の言葉は「思っているよりはるかに重い」

『貞観政要』には、国家や組織を治める基本的な考え方として、リーダーが「言」と「徳」の2つを立てることを説いています。「言」とは言葉、「徳」とは人徳のことです。

「人の紀綱(国家を治める根本的な法規、原則のこと)は、言を立てることと徳を立てることとによるものである。これに従えば正しい道を行くことができ、従わなければ悪事を働くことになる。国家の興廃を見ると、ろくろの回転のように、吉と凶が互いに巡り巡っていて、より合わせた縄のようである」
(巻第四 規諫太子第十二 第一章)

上に立つ人の言葉はとても重く、一度口にしたことは、簡単に取り消すことはできません。古代ギリシャでは、全知全能の神さまであっても口外したことは取り消せなかったのです。

上の人が何気なくいった言葉であっても、下の者は深刻に受け止めます。皇帝のように絶対的な権力を持つ人の場合、その発言は法律とほぼ同じになるので、言葉を選び、よく考え、慎重に発言しなければなりません

また、いくら口がうまくても、人格が備わっていなければ、部下の信頼は得られません。つねに言行一致を心がけていないと、部下はついてきてくれないということです。

トップの話す言葉がとてもよく考えられていて、大所高所から物事を判断している。悠揚迫らぬ鷹揚な人柄で、誰からも好感を持たれる。「ああ、この人にやっぱり上に立ってほしいなぁ」「この人は立派な人だなぁ」「この人のいうことなら、聞くしかないなぁ」と思ってもらえる徳を持つ

そういう人物でなければ、上に立つことは難しく、仮に上に立ったとしても部下は喜んでついてはこないでしょう。

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