年末調整で喜ぶ日本のサラリーマンは滅びる 一生お金に無知なのは先進国で日本人だけ?

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年末調整という便利なシステムが日本人のファイナンシャルリテラシーを下落させているのは間違いありませんが、その解決策として確定申告をすればいいかというと、そう単純にはいきません。なぜなら、日本の確定申告は難しすぎるからです。

日本の確定申告は特定の人が対象となっているためなのか、誰でも簡単に記入できるフォーマットにはなっていません。オンラインで申告できるようになったとはいえ、どれくらいの人たちが使いこなしているか、不明です。マニュアル説明なども充実しておらず、参考資料も少ないままです。

私は事業の関係で日本とイギリスで確定申告をしていますが、日本では税理士に依頼し、イギリスでは自分で申告書を作成して提出しています。日本語を操る日本人なのに、日本の確定申告を税理士に頼んでいるというのもおかしな話ですが、それほど申告が複雑怪奇なのです。青色申告とか、白色申告とか、そもそも「色」で種類が分かれていること自体、変な感じを受けます。

「ふるさと納税」から確定申告に挑戦してみよう

ただし、確定申告を1回経験すれば、ファイナンシャルリテラシーの本を10冊読むよりも、リテラシー向上の効果が得られるでしょう。例えば、「ふるさと納税」や医療費控除は確定申告をする個人が多く、マニュアルも充実したものがありますから、まずはこのあたりからスタートするのがいいでしょう。

私も会社員時代、ふるさと納税しか申告するものがなかったときには自分で確定申告を行っていましたが、マニュアルに沿えばそんなに難しいこともなかった印象です。自分が税金をいくら払っているかを認識できましたし、自分で確定申告をしたことで、経費計上というのがサラリーマンでも可能と実感しました。その後、会社員でありながら不動産収入を得たり、副業をしたりするきっかけにもなりました。

確定申告をすることで、自分の資産の種類を整理して(=資産分散への理解度)、得したか損したかを明確にし(=インフレ・デフレの理解度)、住宅ローンなど利子があるかを申告する(=利息や複利の計算への慣れ)など、自分の現実のお金に向き合うことができます。

アメリカなどでは、アルバイトを始める大学生あたりから毎年1回確定申告を行うようになります。そこで改めてお金と向き合い、資産分散やインフレの知識、利息の計算が自然と身に付いていくのでしょう。

皆さんも実践でファイナンシャルリテラシーを上げるために、2019年分の確定申告にチャレンジしてみてください。給与所得だけで確定申告するものがないという人は、ふるさと納税だったら年末まで可能です。年末中にふるさと納税を利用し、年明けに確定申告をするのがいいと思います。

垣屋 美智子 経営アドバイザー、証券アナリスト

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かきや みちこ / Michiko Kakiya

日本生まれ香港育ち。香港で高校を卒業したのち、単身渡米、University of California, Berkeley卒業。株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントを経て2006年から2016年まで外資系証券・運用会社にて株式アナリストとして勤務。その後、株式会社HAMを創業。スタートアップ企業の財務・経営支援をするほか、マネー、ライフ、キャリアについて執筆、講演活動も行う。
主な著書:『使えば増える! お金の法則 ―ワクワクしながら資産づくり』(時事通信社)
メルマガ:垣屋美智子の「キイトク」
インスタグラム:https://www.instagram.com/michikokakiya/
ツイッター:https://twitter.com/michikokakiya

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