年末調整で喜ぶ日本のサラリーマンは滅びる 一生お金に無知なのは先進国で日本人だけ?

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この調査で日本人よりファイナンシャルリテラシーが高いという結果が出たカナダ(68%)やアメリカ(57%)では、確定申告を個人がしているのでしょうか。

答えは「イエス」。カナダやアメリカでは給与額などに関係なく確定申告を個人で行うことが義務付けられています。会社員の場合、日本と同様に給与から源泉徴収されるのですが、年末調整のシステムはないので、自分で確定申告を行い、税額を確定したうえで、自分で支払う必要があります。したがって、確定申告は義務であると同時に、還付金を得られる会社員にとっては無視できるものでもありません。

アメリカでは庶民も「節税」を意識しながら暮らす

また、カナダやアメリカでは、確定申告で支出の一部を費用として計上し、「給与収入より実収入が低かった」と申告することもできます。それにより税率を下げ、支払うべき税金を減らすことができるのです。

アメリカでは、仕事に伴う引っ越しや教育ローンの利子なども所得控除の対象になります。課税所得額を下げることに加え、「クレジット」により、実際に払う税額も低くすることが可能です。具体的には、託児所の利用、大学の学費や教材費などは「クレジット」と呼ばれ、対象者であれば払うべき税額からこれらの費用を差し引くことができます。

そのため、税金対策を考慮して引っ越したり、教育ローンを申請したりと、ファイナンシャルプランを考えるのは富裕層に限られたことではありません。年末調整のシステムが存在せず、確定申告が義務付けられているために、使うお金のうち減税対象のものや費用計上できるものを把握することは個人にとって当然の行為です。アメリカ人との日常の何気ない会話の中でも、節税への意欲の強さを感じることがあります。

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