新学期に向けて子どものケータイ問題は切実だ 「スマホだから危険」という間違った認識

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そうした情報を親が持っているか、その情報を基に、場面場面で正しい判断ができるのか。「親の情弱が、子どもを危険にさらす」ことは明らかだ。「情弱」とは、情報弱者のことであり、一見ネットやデバイスへのアクセスが左右するようにも見えるが、スマホがあるから情報強者だというわけではない。

より積極的に情報に触れ、自分で判断ができるかどうかが重要であり、スマホに頼らず危機管理のシミュレーションと行動指針を用意している家庭のほうが、リスクを減らすことにつながるだろう。それでも、インターネットのリアルタイムの情報を積極的に取りにいく姿勢は、その判断の精度を高めることにつながる。

「ケータイだから安全」「スマホだから危険」ではない

親の情報量が足りないこと、最新のことが「わからない」状態、そして子どもとのコミュニケーション不足では、何かあったときに助けることができない。もし子どもにデバイスを与えるとしても、機能が少ない子どもケータイだから安全、という判断も間違っている。

確かに子ども向けケータイにはスマホ向けアプリが入れられないため、LINEやTwitterなどを通じて起きるトラブルに巻き込まれないのではないか、と思うかもしれない。しかし親がきちんと制限を管理すれば、機能が少ないケータイを持たせるのと同じことだ。

その管理を放棄することによって、連絡手段の多重化やメッセージのやりとりのスピード、位置情報のよりアクティブな活用を通じて安全に誘導できる、スマホならではのメリットから遠ざかることになる。アップルやグーグルは、安全に子どもにスマートフォンを持たせる方法を整備済みだ。

アップルはiCloudファミリー共有で登録した家族メンバーのiPhone・iPad・iPod touch向けに、標準アプリも含めた機能やプライバシー、コンテンツへのアクセス制限を設定することができる。

株主と教員、親などの圧力に応える形でiOSに「スクリーンタイム」機能を導入し、親が子どものスマホやタブレットのアプリ使用時間に制限をかける管理ができるようにした。

加えて、Appleデバイスの機能として、位置情報共有機能がある。家族同士で位置情報共有を許可することで、お互いの現在位置を、「探す」アプリやメッセージアプリの中で表示することができるようになる。

グーグルは「Google ファミリーリンク」アプリを提供し、アップルが実現している各種機能を、よりシンプルに実現し、子どものAndroidスマートフォン・タブレットを親の管理下に置くことができる。

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