新学期に向けて子どものケータイ問題は切実だ 「スマホだから危険」という間違った認識

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機能制限やプライバシー管理を施したスマホをめぐって、子どもとコミュニケーションを取りながら、少しずつ機能制限を外したり、使い方について議論して決めるなど、テクノロジーの使い方を家族の中でつねに話し合える環境づくりへ持っていければ、子どもが1人でトラブルを抱える可能性を減らすことにもなる。

GPS BoTを見守りの共通言語に

小学校に入学したてで「ケータイ・スマホはまだ早い」、あるいは「新生活が始まる前で、ケータイ・スマホを使うかどうか、どう管理するかを決めかねている」という人も多いはずだ。その一方で「安全に見守りたい」というニーズは、4月からすぐに必要になる。そうした状況にぴったりなのがGPSタグだ。

Amazonの「スマートトラッカー」でGPSを搭載する製品としては最上位に位置する3位(2019年12月20日現在)にランクインしているのが、Bsizeが開発する「GPS BoT」だ。

Bsizeは電子光学、機械工学、そしてデザインに注目し、充電器やデスクライトなどを再デザインし、「1人メーカー」として注目を集めた八木啓太氏が創業したものづくり企業だ。八木氏に子どもが生まれたことをきっかけに、同社として3つ目の製品作りに取り組んだのが、非常にシンプルなGPSタグと、AIによる見守りサービスだ。

4800円(税別)の本体を購入し、月額480円というシンプルな料金体系も好感が持てる。事務手数料や2年縛りといった「ケータイの当たり前」はない。本体にはボタンもなく、3〜5日に1度充電して子どもに持たせるだけで、両親それぞれのスマートフォンから子どもの見守りができる。複数の子どもに持たせているGPS BoTを1つのアプリで管理することもできる。

Bsizeの「GPS BoT」。本体は税別4800円、利用料は月額480円(筆者撮影)

アプリからは自宅、学校、塾、公園などの子どもがよく行くスポットを登録でき、到着・出発時に両親のスマホに通知が届く。実際筆者も購入・契約して試してみたが、3〜5日程度バッテリーが持続する省電力モードでも3分程度おきに位置情報を更新し、ほぼリアルタイムでタグの位置が把握できた。

GPSに加えてドコモのFOMA・FOMAプラスエリア、Wi-Fiを利用するため、施設内や地下でも位置情報が取得でき、都心で発達する地下鉄を利用して通学している子どもにも安心だ。

さらにAIが「行動範囲」を自動的に認識し、そのエリアから外れた瞬間に通知を発する仕組みを備えた。1カ月ほど経てば行動範囲が提案され、以降も使えば使うほど、その精度が高まっていく。こうすることで、つねにアプリで位置情報を確認し続ける手間もなくなる。

Bsizeによると、位置情報を取ること以上に、どのように見せて安心してもらえるかが重要だとしている。ユーザーが気づくより先に情報を提供し、子どもと連絡を取るかどうか、判断することができるようになるという。

そして「子どもが持つケータイやスマホとは共存する」との考えも披露した。前述したコミュニケーション手段の多重化の意味もあるが、各家庭でテクノロジーに対する方針が違う中で、子どもを見守るツールとして最もシンプルなデバイスが共通項となれば、子ども同士・親同士での日常的な見守り体制のアシスト役になりうる。

BsizeはGPS BoTがそうした子どもを見守る共通言語となることを目指しており、テクノロジー活用同様、コミュニケーションが活発になることによる解決を目指している点で共感できる。

いずれにしても、それぞれの家庭や学校の事情に合わせて、試行錯誤しながら備えていくしかない。新学期に新たな学校に通うのであれば、子どもの安全の守り方について考えるいいきっかけであるし、適切なテクノロジーのアシストによって、さまざまな事態に対応できる体制を作り上げる必要がある。

繰り返しになるが、親の情弱は子どもを危険にさらす。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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