知らないと損!「妻が扶養に入る」時の重要知識 似て異なる2種類の「扶養」がある

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例えば、月収50万円の方が3月に退職され、すでに年間収入が150万円であったとしても、退職後働いておらず、無職無収入ということであれば、退職日以降、将来に向かって年間収入が130万円未満と判断され、原則として退職日の翌日から健康保険の扶養に入れるのです。

反対に、11月からパートで働き始め、月収15万円ほどで、その年の年収が30万円だけだったとしても、月収は10万8千円を超えており、将来に向かって年収180万円(15万×12カ月)の見込みが立つため、パートで働きだした11月時点で扶養から外さなければならない必要があるので、注意が必要です。

したがって、冒頭のKさんのケースも退職後に無職・無収入ということですので、健康保険の扶養については、前職での収入にかかわらず、原則として退職日の翌日から配偶者の扶養に入れたわけです。年収が130万円を超えている場合、その年は健康保険の扶養に加入できないと勘違いされている方が意外に多いので、損をしないためにもこの点は押さえておくとよいでしょう。

なお、「健康保険の扶養」と「国民年金第3号被保険者」の要件は原則同じになるので、国民年金についても保険料を自ら負担する第1号被保険者ではなく、保険料負担のない第3号被保険者になれたのです。

2. 収入に含める「モノ」の違いに注意

扶養における年収の考え方は前述のとおりですが、収入に含める「モノ」も違うので気をつけなければなりません。

健康保険の扶養では、税法上は非課税扱いとなる公的給付についても収入に含めて計算する必要があります。具体的には、

・雇用保険の失業給付(基本手当)
・健康保険の出産手当金
・傷病手当金
・厚生年金、国民年金の障害年金
・遺族年金
・労災保険の傷病補償給付
・障害補償給付
・遺族補償給付 等

よくあるのが、退職後ハローワークから失業給付を受けているケースです。失業給付は退職理由によってもらい方が異なりますが、自己都合退職だった場合、3カ月間の給付制限期間があります。この失業給付を受給するまでの3カ月間は、健康保険の扶養に入ることができますが、実際に失業給付の受給を開始した時点からは将来に向かって収入があると判断されます。

そのため、失業給付の金額が、扶養の範囲内である日額3612円(130万円÷360日)以上ある場合は、受給開始日以降、健康保険の扶養から外す必要があるわけです。

このように自己都合で退職後、失業給付を受給する場合は、健康保険の扶養にいったん入った後、受給開始と同時に扶養から外し、受給が終わったらまた扶養に入るといった、税法上の扶養にはない、煩雑な手続きが発生してしまうのです。

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