知らないと損!「妻が扶養に入る」時の重要知識

似て異なる2種類の「扶養」がある

また、ここでも注意が必要なのは、健康保険の扶養は加入日を原則さかのぼらないということです。

健康保険の扶養は、健康保険組合等による認定を受けなければなりません。そのため、健康保険組合等に書類を届け出て、認定を受けた日から被扶養者となれます。したがって、届出が遅れたとしても、原則さかのぼって認定してくれないので、後の祭りになってしまいます。ちなみに、国民年金第3号被保険者については、健康保険の扶養と異なり事実確認ができればさかのぼって手続きをしてもらえます。

そのため、冒頭のKさんも今から扶養の手続きをすれば、健康保険は原則、さかのぼってもらえず届け出た日から被扶養者となってしまいますが、国民年金第3号被保険者については退職日の翌日までさかのぼってもらえるので、すでに納めた国民年金保険料分、つまり月額1万6410円(2019年度)×納付済み期間、が戻ってくることになります。

3. 扶養に加入しても社会保険料は変わらない

社会保険上の扶養(健康保険被扶養者、国民年金第3号被保険者)になると、扶養される方は保険料の負担がなくなります。そのため、配偶者等を扶養する方が、その分の保険料を負担されていると思っている方が多いのですが、実は扶養する方もその分の保険料を加算して負担しているわけではありません。まれに自分の保険料が高くなると勘違いして、親を扶養に入れない方もいたりするので、この点はぜひ押さえておいてください。

なお、社会保険料は標準報酬月額(通称:ひょうげつ)という仕組で計算されています。この「ひょうげつ」とは、社会保険の事務処理を簡略するために考えられた仕組みで、給与をおよそ1万円から6万円の幅で区分した等級であり、健康保険は139万円、厚生年金は62万円が上限になっています。

社会保険のあらゆる場面で使われる重要なキーワードで、自分の「ひょうげつ」がわかればいろいろな計算ができます(詳しくは「給与が減ったと思ったら『この表』を見よ!」をご覧ください)。

したがって、この「ひょうげつ」は給与の額だけで算出されるので、扶養の数によって変わることはありません。そのため、独身の被保険者と扶養家族が子どもや両親も含めて5人いる被保険者の場合であっても、給与の額が同じであればひょうげつは同じになるので、保険料は同額となり、扶養者の分だけ保険料が高くなることはないのです。

ちなみに、扶養されている方はご自身で国民健康保険に加入していたときと同様に原則給付を受けられ、国民年金第3号被保険者も第1号被保険者と同様の年金額を受けることができます。

社会保険と税金の「扶養」。同じ言葉でも異なる点がとても多いことがおわかりいただけましたでしょうか。生きていくうえで少しでも損をしないために、その点を頭の片隅に入れておくといいのではないでしょうか。

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