スペック高めの46歳婚活男性がなぜ未婚なのか 親の考え方も「老い」とともに変わってしまう

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娘のことが心配なのは理解できたが、何でもズケズケと聞いてくる父親に苦手意識を持った。

「母は僕が結婚したら、“支援型サービスの付いている老人施設に行って、そこで気ままに生活をする”と言っています。自分が嫁姑問題で苦労したから、嫁さんとの同居は希望していません」

親御さんと話し、彼女の家を後にしたときにはどっと疲れ、結婚する気持ちも萎えてしまった。加えて、彼女は当初、隆一の家の近くでインストラクターの仕事を探すと言っていたのに、今の職場は辞めたくないと言い出した。

「彼女のお客さんは、仕事を終えた後に来る人たち。夜の10時くらいまではお客さんを相手にインストラクターの仕事をしないといけない。そこでの仕事を辞めないとなると、都内に住まないと難しい。僕は、せっかく買った家を手放して都内に新居を構えるのは、考えられなかった」

結局結婚後の話を詰めていくうちに、お互いの気持ちもズレていき、最終的には、隆一から婚約を白紙に戻すことを申し出た。

中年になるほどに、難しくなっていく結婚

「3回の婚約破棄を通じて、結婚が決まれば、なんらかの問題が出てくるのがわかりました。もちろん女性側にも問題がありましたが、僕自身も最後の最後で結婚へと駒を進められなかった。何かこのまま婚活を繰り返して、独身のまま一生終わるのではないかと懸念しています」

さらにこんなことも言った。

「結婚を義務だと考えないと、僕はもう結婚できないのかもしれない。一方で、そこまでして結婚しなきゃいけないのかなという気持ちもある。またもしかしたら、本当は無意識のうちに結婚から逃げているのかもしれない。相手が言ってくる条件と合わなかった。結婚詐欺のような女性に出会った。家がある、親がいる。その条件に合わない女性だから、結婚できない。そんな理由付けをして結婚を回避しているんじゃないかって」

すっかり婚活のブラックボックスに陥っていた。彼のように結婚をあれこれ理論立てて考え出すと、結婚すること自体がつらくなり、難しくなっていく。

彼だけではない。結婚相談所において中年の婚活者は、結婚に向かう真剣交際を終了したり、婚約を解消したりすることは、ままある事象だ。

なぜなのか。それは年を重ねてしまうと、背負うものも大きくなってくるからだろう。仕事のこと、家のこと、親のこと、お墓のことなど、いろいろなしがらみが出てくるのだ。

20代ならば、親も現役で働いているし、介護のことなど頭をかすめない。しかし、中年にさしかかってくると親も年老いてくるので、介護の問題が現実味を帯びてくる。今は元気でも、近い将来どうなるかわからないと思うと、親の介護を視野に入れ、住む場所や同居を考えるようになる。

また、「いい物件に出会ったから」と言って、結婚前に家を買ってしまう人がいるのだが、それは後に結婚するときの足かせになる。買った本人は、愛着があるので売ることは考えたくない。しかし、住む場所が限定されると、共働きの時代なので、その場所でいいと納得する女性も限定されることになる。

さらに親の考え方も、老いとともに変わってゆく。現役で働いていているときは「子どもの世話にはなりたくない」と思っている。しかし、現役を引退し、老いていくうちに心寂しくなっていく。そうすると、ずっと側にいた子どもを手放したくなくなるのだ。「早く結婚して出て行け」と口うるさかった親が、「結婚して、私を捨てて出ていくのか」と、真逆のことを言うようになる。

結婚とは、それまでの生活環境がガラリと変わることだ。頭で考え出し、変化を恐れると、その先の話が進まなくなる。

「何とかなる」「問題は起こったときに解決すればいい」そんなふうに思わないと結婚はできない。

“結婚”は“決断”である。

しかし、この結論にたどり着けるには、さまざまな問題が起こってもそれを凌駕できる、“この相手と一生一緒にいたい”と思う気持ちがないと難しい。それが中年になると、相手を好きになる動物的本能も鈍ってくる。恋愛スイッチが容易に入らなくなる。結果、婚活市場をさまよい続けることとなるのではないだろうか。

鎌田 れい 仲人・ライター

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かまた れい / Rei Kamata

雑誌や書籍のライター歴は30年。得意分野は、恋愛、婚活、芸能、ドキュメントなど。タレントの写真集や単行本の企画構成も。『週刊女性』では「人間ドキュメント」や婚活関連の記事を担当。「鎌田絵里」のペンネームで、恋愛少女小説(講談社X文庫)を書いていたことも。婚活パーティーで知り合った夫との結婚生活は19年。双子の女の子の母。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイトはコチラ

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