法曹界きっての「IT革命児」がはまった深い谷 司法制度改革が生み出した「士業」のひずみ

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ある弁護士に対する懲戒請求が、業界の抱える構造問題を浮き彫りにした(記者撮影)

「東京弁護士会綱紀委員会は、被審査人らの主張をろくに検討せず、懲戒にせんとした。この不当性は明らか。懲戒委員会は先入観にとらわれることなく、公平に見て、綱紀委員会が下した不当な認定判断を是正してほしい。懲戒はしないという結論を出してほしい」

11月15日、怒りと焦りが入り交じる弁明書を東京弁護士会の懲戒委員会に提出したのは、弁護士数業界6位の弁護士法人ベリーベスト法律事務所。同法人と代表の酒井将、浅野健太郎弁護士は今、懲戒委員会の審査にかけられている。国に監督権限がある司法書士や行政書士などと違い、弁護士だけは監督権限、懲戒権を弁護士会が有している。

「非弁提携」の疑い

本件の発端は2016年9月、酒井氏らが懲戒請求をかけられたことだった。請求したのはベリーベスト法律事務所の元職員S氏。「ベリーベスト法律事務所および代表弁護士らは、司法書士法人である新宿事務所から過払い金返還請求事件の依頼者を紹介され、その対価として1件当たり19万8000円払っている。これは弁護士法や弁護士職務基本規程に抵触し、懲戒に相当する」というものだ。

弁護士法は、非弁護士が事件の斡旋、紹介することを「非弁行為」として禁じ、弁護士が非弁護士から事件の斡旋、紹介を受けることも「非弁提携」として禁じている。また弁護士職務基本規程は、依頼者の紹介を受けたことに対価を支払うことを禁じている。

現在の司法書士法は、訴額140万円以下であれば司法書士が事件を扱えることになっている。本件は、過払い金返還請求の依頼者について、いったんは司法書士事務所の新宿事務所が受任したものの、過去の取引履歴を調べると過払い金が140万円を超過することがわかったため、事件をベリーベスト法律事務所に引き継いだ。

しかしその際、1件当たり19万8000円が新宿事務所に支払われており、それが「紹介の対価」で「非弁提携」にあたるという訴えだ。

これに対し酒井氏は、19万8000円は「紹介の対価」ではなく、引き継ぎをするまでに新宿事務所が行った引き直し計算等の業務や、引き継がれた事件についてベリーベスト法律事務所が新宿事務所に委託していた訴状等の作成の対価(業務委託料)であると反論する。

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