窮地でなぜかいつも「助けられる人」の共通点 人間関係で「得する人」「損する人」の差

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「新システムなんて言い出すんじゃなかった。3カ月前に戻りたい」といつも思っていました。こんなこと始めなきゃよかった、と。けれど、撤退するという決断もできません。さんざん迷惑をかけているので、辞表を書いて胸に持っているほどでした。が、辞めるという決心もつかない。

周囲からボコボコに叩かれながら、クラゲのように職場に浮遊している……。心が強かったわけではなく、浮遊しているクラゲはぐにゃぐにゃしていて折れることも倒れることもできなかった……というのが実情でした。

「伊藤をあのまま潰していいのか」

しかし、そんな私にある転機が訪れます。その物流センターは、物流業務を担当するグループ会社が運営していたのですが、当初、この会社の人たちは、私を完全に敵視していました。ところが、ぶざまな失敗を繰り返し、怒られながらも逃げない私を見ているうちに、あるときから状況が変わっていったそうです。

そして、あるときからこんな声が上がり始めたそうです。「伊藤をあのまま潰してしまっていいのか」……と。これはその会社の人たちから後に聞かされました。

そんなある日、それまで敵対的だったそのグループ会社のとある部長が、こっそりと助力を申し出てくれました。それは、会社のメールアドレスではなく、個人用のアドレスから来たメールでした。そこには「新システムのデータをもらえないか」と書いてありました。システムをうまく動かせるかもしれない、ちょっと心当たりがある、と言うのです。

まさに救いの船。状況が一気に変わったのは、そこからです。現場を知り尽くした、その部長の協力を得ながら実験を繰り返すことで、新システムの精度は飛躍的に向上しました。2カ月ほどで安定した運用が可能になり、狙っていたコスト削減の効果も次第に上がるようになりました。起死回生、一発逆転の出来事です。まさに「思いもよらない人からの助けで、私は生き返った」のです。

なぜ、私は敵対的だったグループの子会社の部長から助けてもらうことができたのか?その理由はいくつかあると思っていますが、「その場から逃げなかったから」という理由は大きかったと思っています。

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