コンビニ大手のセブン-イレブンにおいて、アルバイトなどに支払う残業代の一部が未払いであった問題が波紋を呼んでいます。同社が把握している対象者は3万0405人、金額は約4億9000万円と見過ごせない数字です。なぜこうした事態になったのでしょうか。
未払いとなっていたのは、セブン-イレブン店舗において加盟店の判断で支給される「精勤手当」と「職責手当」にかかる残業手当の一部。従業員の給与計算は、各加盟店に代わってセブン-イレブン本部が行っていますが、計算式に誤りがあり、本来支給すべき金額を下回っていたというのです。
しかも、2001年に労働基準監督署から指摘を受けており、その際に固定給従業員の計算式は改善されたということですが、時給アルバイトに至っては改善されることなく、2019年9月に加盟店が是正勧告を受けたことで本部に情報が伝わり、問題が発覚しました。
ガバナンス体制に問題
未払いがあるとして問題となっているのは、あくまでも残業代の一部です。しかしこれだけの規模、そして長期間に及ぶ点、さらに全国を束ねるフランチャイズ本部の失態に、ガバナンス体制の甘さなど厳しい声が上がっています。
「問題の原因は代行業務における瑕疵(かし)であり、加盟店のオーナーの責任ではない」(セブン-イレブン・ジャパンの永松文彦社長)として、未払い分は本部で負担する考えです。ですが、これで割を食うのは、加盟店オーナーたちでしょう。働いているスタッフからすれば、きちんと給与が支払われていなかったという不信感につながってしまいます。
フランチャイズの個人事業主という働き方について触れましたが、雇用契約による働き方でも、そうでない場合でも、それぞれの立場から解決すべき課題はあります。働き方は個人の選択であり、何があっても自己責任だという意見はありますが、持続可能な働き方ができなければ、いつかそのほころびは取り返しのつかないものになってしまいます。
いったい、何のために働くのか。経済がグローバル化していく中で、ビジネスの在り方や働き方が変化していくことは自然の流れといえます。それが持続可能なシステムであることを願わずにはいられません。
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