アマゾン創業者が失敗し続けている最大理由

「50代でもサードドアは開く」沖縄起業家対談

ところがその火事で燃えるビルの3階に、いちばん大事に思っている人、愛している人がいるとしたらどうでしょう? 3階のどのあたりにいるようだという正確な話を聞く前に、飛び出して行く人が多いんじゃないでしょうか。その炎がどのぐらい熱いかという事実は変わらない。その炎の中にいる人、ある物が、その人にとってどれだけ大事なのかということです。

起業も同じです。もしお金を稼ぐことだけが目的なら、打ちのめされた途端に「もっと簡単な稼ぎ方があるはずだ」と考える。でも、もっと重要な目標や理由があれば、諦めないのではないかと思います。

棚原:バナヤンさんは、こういった場で話をされることに対して、迷いや不安はありませんか? というのも、僕たち起業家もこういった場で話すことがあるのですが、価値観を積み上げていくたびに考えが変わることがあるんです。どこまで責任が取れるのだろうかと考えてしまうんですよ。

大切なのは自分が自分をどう感じるか

バナヤン:自分の言うことに責任を持つのは大事なことだと思います。ただ、これから先のことはあまり心配していませんよ。だって、この先の将来があるかどうかはわからないし、誰も人の発言なんてあまり気にしていないから。

みんなが覚えているのは、そのときに、その発言者がどういう意図を持っていたのか、ということではないでしょうか。人を傷つけようという意図だったのか。助けようという意図だったのか。もしくは、人を利用しようとしていたのか。自由にしてあげようとしていたのか。

自分が言ったことが心配になるのは、真剣に考えすぎてしまっているんだとも思います。大して誰も気にしていないんだということがわかると楽になりますよ。人間が犯すいちばん大きな間違いは、自分たちが宇宙の中心だと思ってしまうことですね。

先月、ロンドンの博物館に行きました。館内に像が立っていて、なんとなく説明を読むと、名前も知らない人物でしたが、なにやらローマ帝国の時代に20年間帝王だったと書いてありました。恐らく当時の人にとっては世界の中心であるような重要人物だったんでしょう。でも、現代の私にはそれが誰なのかも気になりません。

池見幸浩(いけみ ゆきひろ)/株式会社grooves(グルーヴス) 代表取締役。 関西外国語大学卒業後、大手通信会社の社長室、会長室、内部監査室長を務める。その後、資産管理会社勤務を経て2004年株式会社groovesを設立。2018年3月、マレーシア クアラルンプールにGrooves Sdn.Bhd.を設立し、海外事業を推進。1977年、大阪府生まれ (撮影:Hoi Shan Wu)

私たちがストレスを抱える原因は、「これはすごく大変なことだ」と思い込むからではないでしょうか。全体像を眺めてみたら、実は大したことじゃない。そう思うと、気楽になれます。

間違っても大したことじゃない。成功しても大したことじゃない。大切なのは、自分が自分についてどう感じるかということと、その途中で誰かの力になったか、助けたかということぐらいだと思います。

池見:バナヤンさんは『サードドア』の中で、グーグル創業者のラリー・ペイジをトイレの中まで追いかけていって、でも話せずに終わるなど、何度も何度もチャレンジしては失敗するという体験をつづられていますね。

僕たちにもそういう経験がいっぱいあります。そして委縮してしまう。今日お話をうかがって、そこをどう乗り越えていけばよいのかがよくわかりました。リアリティーがあるからこそすばらしい本だと改めて思います。本日はありがとうございました。

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