アマゾン創業者が失敗し続けている最大理由 「50代でもサードドアは開く」沖縄起業家対談

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19歳の若者が10人に助けを求めて、無反応に終わる。これって普通のことだと思います。でも、60歳の人が10人に助けを求めて無反応だったとなると、私はその60歳の人のほうに問題があるんじゃないかと考えますよ。年齢ではなく、キャリアのどの途上にその人がいるかということも関わってくるでしょう。

成功を経験した人は、なかなか変わろうとしません。なにかを始めたときは「失敗してもいい」と思っていても、成功すると「もう失敗できない」と考え始めるわけです。でも、アマゾンのジェフ・ベゾスさんのような成功者は、いまでも挑戦して失敗し続けています。

いくら年齢を重ねて、どれだけの成功を収めてきても、やはり他人が自分をどう見るかということには恐れを抱くものでしょう。だから本当は、怖いのは年齢ではなく、私たちの心の中の恐れが、自分を行動させないようにしてしまうことだと思います。

池見幸浩(以下、池見):日本人は年齢のせいにしがちですが、チャレンジすることが重要だということですね。

「自分にもできる」と思わせることが大事

棚原生磨(以下、棚原):私は、成功を望まない若者が増えているように感じています。私の会社は運転代行のプラットフォームを開発していますが、沖縄はITで起業しているのは数人という状況です。若者たちにモチベーションを持たせるにはなにが必要でしょう?

アレックス・バナヤン/作家、スピーカー。1992年8月10日、カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。大学1年生の期末試験の前日、アメリカの有名なテレビ番組『プライス・イズ・ライト』に出場し、世界で屈指の成功者たちから「自分らしい人生の始め方」を学ぼうと旅に出る。19歳のとき、シリコンバレー史上最年少のベンチャーキャピタルとなる。また、アメリカの大手出版社クラウン・パブリッシャーズ史上、同社と契約した最年少の作家となる。『フォーブス』誌「30歳未満の最も優れた30人」、『ビジネス・インサイダー』誌「30歳未満の最もパワフルな人物」に選出(撮影:Hoi Shan Wu)

バナヤン:まず言えることは、人を強制して変えることはできないということですね。もし、おとなしく列に並んでファーストドアに入るのが幸せだと思うのなら、なにもそこを直すことはないと思うんです。ただ、列に並んでいるけれども、実はそれがつらくて、しかも、ただ変化が怖いというだけなら、支援してあげるのはいいことだと思います。

私が学んだことで、誰かにしてあげられるいちばん大きなことは、あなたが思っているそれを目指すことは可能なんだよ、と信じさせることです。

よくある話ですが、親がエンジニアだと子どもも「エンジニアだったら自分もなれそうだ」と思います。でも10代の子が、沖縄でお二人のような方と一夏を過ごす経験をすれば、新しい目標が自然に生まれるのではないでしょうか。

なにか教えるとか、新しい情報を与えるとかでなくとも、実際のお二人を見れば、「自分にもできる」と思える。そうなれば、もう自力で調べて取り組み始めてしまいますよ。

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