みんな大好きな「アボカド」品薄回避の最終手段 遺伝子組み換えへの取り組みが始まった

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気候変動の影響でアボカドの生産が危機的状況に陥っている。アボカドが安定的に生産されるためには、遺伝子組み換えしかないのだろうか?(写真:Rouzes/iStock)

1990年代初め、若きオーストラリア人シェフ、ビル・グレンジャーはひらめいた。「トーストの上にアボカドをのせたらどうか?」

このすばらしいアイデアが生まれてから30年近くがたち、長く、ときに奇妙なアボカドの歴史は今、議論を招く可能性のある新たな転機を迎えている。気候変動の影響で、アボカドがブランチメニューから消える恐れが取りざたされる中、一部の科学者らがこんなことを考えている。

「アボカドのDNAを編集したらどうか?」

環境への耐性が強いアボカド生産を急ぐワケ

アメリカとメキシコの研究チームが8月、代表的なハス種を含むアボカドの複数種のDNA塩基配列を特定したと発表した。この研究は、病気や乾燥した環境への耐性が強いアボカドを生産することを目的とした育種技術と遺伝子組み換え(GM)技術の基礎になる可能性がある。

トレンドの先端をいくトースト好きの人たちにとっては、本人が認識するかどうかはさておき、大きなニュースかもしれない。すでに気温の上昇によってアボカドのサプライチェーンは混乱しており、アメリカ全土で価格が上昇。不透明な貿易問題がさらに追い打ちをかけている。

研究を主導したテキサス工科大学のルイス・エレーラ・エストレラ教授(植物ゲノム学)は、「気候変動が原因で、気温や湿度、土壌が変化し、新種の昆虫や病気が生まれるだろう」と言う。「こうした不可避の変化に対処する準備をしなければならない」。

アボカドの歴史はアステカ族にさかのぼる。その時代は「āhuacatl(アワカ)」と呼ばれ、これは「睾丸」を指す俗語でもあった。それから長い時を経て、現在、グレンジャーは「アボカドトーストを初めて供したシェフ」として名をはせている。アボカドトーストは今やミレニアル世代の食事の定番メニューとなり、モダンデカダンスと「インスタ映え」のシンボルだ。

アボカドに手を加えた先駆者とも言えるグレンジャーはインタビューで、今回の遺伝子研究には賛成だと述べた。しかし、自身が愛するこの果物の未来について、疑問も抱かされたという。「アボカドにどれだけ手を加えるのだろう? 何を変えてしまうのか?」

その答えはというと、アボカドは変わらない。少なくとも今はまだ。科学者らは近年、バナナやトマト、リンゴなど果物のゲノム配列を解析し、その情報を使ってGM品種を作り出している。しかし、アボカドの木は成長に少なくとも3年がかかることなどから、GMアボカドが誕生するのはまだ先になりそうだ。

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