セブン-イレブン「残業代未払い」の呆れた顛末 ガバナンスの利いていない経営体制が露呈

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複数の加盟店オーナーは、こういった本部の一連の対応を問題視する。「問題は、2001年に是正勧告を受けてからも公表しようとしなかった本部の根深い隠蔽体質にある。セブンが今後どこに向かっていくのか心配だ」と、西日本の加盟店オーナーは憂慮する。

2001年当時に公表しなかった理由について、永松社長は「(2019年9月に労基署から是正勧告を受けて以降)議事録などの確認や社員への聞き取り調査を実施した。だが、この件に関する記録が残っておらず、当時と今の(本件に関わる)担当者が違うこともあり、詳細がわからなかった。この時点でなぜ公表しなかったのか、現時点ではわからない」と話す。

永松社長のこの発言に対して、前出の都内加盟店オーナーは「『議事録など過去の記録はない』『担当者は退社して不在』、こういった答弁で逃げ切ろうとしている。みっともない記者会見だった」と、憤りをあらわにする。

再発防止策も打ち出すが…

今回発覚した未払い残業代については、本来加盟店が支払う必要のある人件費だが、セブン本部に落ち度があったため、すべて本部が負担する。社内外のチェック体制の強化や社内研修等の強化など、再発防止策も打ち出す。また、永松社長は自身の月額報酬3カ月分について10%を自主返上する。

永松社長は加盟店からの信頼を取り戻せるか(撮影:尾形文繁)

だが、加盟店の本部への信頼を取り戻せるかどうかは疑問だ。「創業から45年が経ち大きく環境が変わる中で、われわれ自身が変わってこられなかったのが1番の問題。役員、社員全員でもう一度、本部としてのあり方や加盟店オーナーにどういうサービスを提供していくのかを考える。今までのやり方を払拭していく」。永松社長はこのように強調するが、信頼回復への道のりは険しい。

問題続出のセブン。経営トップの強いリーダーシップによる、透明性のある経営体制への変革が求められる。

遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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