セブン-イレブン「残業代未払い」の呆れた顛末 ガバナンスの利いていない経営体制が露呈
2001年に計算式を変えた際、式に基づいて計算が正しく行われるかという確認はしていた。しかし、人事や労務管理のプロである社会保険労務士によって計算式そのものが正しいか確認された記録はなく、今までミスが放置されていた。
当時、セブン-イレブン・ジャパンの会長だった鈴木敏文・現セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問も、この件を知らなかったという。
都内のある加盟店オーナーは、「加盟店では細かく調べたりせず、本部が計算した金額をそのまま支払う。しかも、アルバイトに残業代を支払うのは、よほど人手が足りず苦しい加盟店に限られる。そういう店舗のオーナーは細かいところに気づかないし、気づこうともしない。多くのアルバイトは、給与をもらったら給与明細を捨てるのが現実だ」と話す。
給与明細には手当ごとの残業代が記載されず、総額としてまとめられていることも、問題が発覚しにくい要因となった。
事実を公表してこなかったセブン
セブンの姿勢として深刻なのは、今回発覚した計算間違いそのものよりも、こういった事実を公表してこなかったことだ。
2001年に労働基準監督署から是正勧告を受けた当時は、事実を公表せず、しかも2001年以前に未払いだった一部残業手当も支払われないまま今日に至った。
さらに2019年9月に、ある加盟店に対し労基署が残業代の一部未払いについて是正勧告を行ったと、セブン本部に連絡が入ったものの、「(対象が)非常に多くの店舗、人数となるので、どのような形で支払うのがいいのかといった詰めを今までやっていた」(永松社長)ため、発表が12月まで遅れたという。
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