“飲料自販機”設置競争の熾烈、転機に立つドル箱事業
もう一つの理由は、どの業界首脳も口に出さないが、サントリーとキリンの自販機台数が1+1=2にはならないことが、これまでの例からわかっていることだ。両社の自販機が並んで設置されている場合、かなりの数の自販機が撤退を余儀なくされる。そのすき間に自社の自販機を入れられるという読みがある。
一方で、サッポロホールディングスが従来から販売提携関係にあるポッカコーポレーションに出資を決めたり、伊藤園が大塚製薬グループの自販機運営会社に出資を決めるなど、中堅同士でまとまる動きがある。伊藤園はスーパー、コンビニなど手売りで伸びてきたが、自販機拡大にも積極的に取り組んでおり、もう一つの台風の目になりそうだ。
今後はダイドードリンコが業界再編にどうかかわっていくかも注目される。同社は飲料生産は全量を外部のパッカーと呼ばれる製造業者に委託し、自販機オペレーションに特化している。その機動的な経営やオペレーターとしての能力に、業界の評価は高い。オーナー経営で独自路線を貫くダイドードリンコだが、環境がさらに厳しくなれば、どこかのグループと提携したり、経営統合する可能性がないとはいえない。
(内田通夫 撮影:今井康一、尾形文繁 =週刊東洋経済)
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