“飲料自販機”設置競争の熾烈、転機に立つドル箱事業
サントリー・キリンの経営統合を歓迎する理由
こうした厳しい事業環境下、飲料自販機部門の再編が始まっている。すでに07年にアサヒ飲料とカルピスの自販機部門が統合されて、商品構成やオペレーションでシナジー効果を追求している。
現在、台風の目になっているが、サントリーとキリンの経営統合の動きだ。酒・ビールのほか、飲料を統合する方向で動いている。飲料でサントリーとキリンが統合されると、市場占有率で約29・4%となり、コカ・コーラグループと同じになる(08年数量ベース、飲料総研推定)。自販機の台数も65万台とコカ・コーラグループに近づく。飲料部門の経営統合のスキームは固まっていないが、ブランド、商品はそれぞれ現状を維持しながら、背後のオペレーションや購買では両社が一体となり、コストを下げる方向とみられる。強力なライバルの出現である。
だが意外にも、飲料メーカーの多くが、サントリーとキリンの経営統合を業界にとってプラスに働くものと見ている。業界3位のダイドードリンコの高松富博社長は、「両社の統合により、業界の過当競争が緩和される。特に手売りの価格が安定する。その結果として、自販機販売にもよい影響を与える」と予測する。