地雷を踏まない「人間関係」の上手な作り方 危機管理のプロが解説「トラブル回避のコツ」

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多くの人が悩むのが、年上の人との関係です。親や上司が代表でしょう。かつては自分の庇護者であり、また相談相手であった親が、高齢になるにつれて、面倒を見る相手に変わります。距離感も変化しますし、立場も逆転するのです。将来を真剣に考えれば、親の資産についても考えなくてはならないかもしれません。

しかし、このデザインの変化はとても難しいようです。親にむかって「ボケてきているから心配だ」「急に死なれたら大変だから、お金の話を聞かせてほしい」などと言うのに心理的な抵抗を感じるからです。言われるほうも気分が悪いかもしれません。

地雷を踏まないためにどうすべきか

では、地雷を踏まないためにはどうすべきか。少なくとも、立場が逆転したからといって、単純にデザインをひっくり返すような変更をしないことが望ましいでしょう。

『地雷を踏むな――大人のための危機突破術』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

ある部分は変えず、ある部分は変える、というくらいの心構えではいかがでしょうか。子供の立場から考えるならば、親の考えや気持ちを尊重しながらも、判断は自分に委ねてもらうことです。例えば、次のような言い方です。

「年をとると、先の事を細かく考えるのはストレスでしょう。大きな方向だけ示してくれたら、私が素案を作るから、それを基に決めたらどうかな?」

あくまでも、「あなた(親)のため」というのを前提としたうえで、デザインの部分修正をはかるのです。そうすれば、言う側も言われる側も、抵抗感は薄くなるかと思います。

会社でも似たような場面に遭遇します。かつての先輩、上司が部下になることは珍しくありません。多くの人は、元上司へのリスペクトを維持しようとするでしょう。しかし、立場まで昔の上司・部下の関係のままでは職場はうまく機能しません。逆に、一方的な口調で元上司に指示を出しても決してうまくいかないでしょう。相手を尊重しながらも判断は後任が担う、というのが正しいデザインの変更なのです。

人間関係に悩んでいる方は、一度、その相手との「デザイン」を意識して、適切な距離感を保てているかなどチェックしたうえで、相手と言葉を交わしてみるのもいいかもしれません。実は相手も「どうしたものかと悩んでいた」ケースも少なくないのです。

田中 優介 危機管理コンサルタント

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たなか ゆうすけ / Yusuke Tanaka

1987(昭和62)年東京都生まれ。明治大学法学部卒業後、セイコーウオッチ入社。お客様相談室、広報部などに勤務後、2014年リスク・ヘッジ入社。2019年12月現在、同社代表取締役社長。岐阜女子大学特任准教授。

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