地雷を踏まない「人間関係」の上手な作り方

危機管理のプロが解説「トラブル回避のコツ」

相手との距離感を観察してデザインした人間関係は、一度決めたらもう変えてはいけないのでしょうか。

その答えは「ノーでもイエスでもある」となります。成り行きに任せて変えるのはノー、意図を持って変えるのはイエスだと私は考えます。

結婚に置き換えて考えてみましょう。とても仲のいい両親と息子がいたとします。成人した後も、着る洋服を選んでもらい、部屋を片付けてもらっていた。その程度はよくあることでしょう。ところが、結婚した後でも、それを続けていたら新妻はドン引きしてしまいます。ですから、結婚した途端に、親子といえども意図的にデザインを変えなければならないと思うのです。

このような、変化に対応する意図を持った変更は、積極的に行うべきではないでしょうか。例えば、相手の立場が変化した場合です。その最たる例は、幼なじみが暴力団員になったようなケースです。当然ながらデザインは変えなければなりません。そのまま付き合っていたら、警察から「密接交際者」と見なされてしまいます。

拙速で一方的な変更はトラブルのもと

あるいは、幼なじみが公務員になった場合も気を付ける必要があります。仕事において利害関係ができてしまったら、デザインを変える必要があります。昔からの友人であっても、政治家になったら付き合い方を変えなければいけないこともあるでしょう。うかつなことをすれば「疑惑」や「事件」になる例を私たちは何度も見てきています。

不倫をしていた男女が、別れ話でもめて相手を告発するようになったり、配偶者にバレて泥沼の離婚訴訟にはまってしまったりするのは、片方が勝手に、成り行き任せにデザインを変更した代償です。

弊社では、愛人との別れ話、といったリスクに関するアドバイスをすることもあります。そうした時には、次のようにアドバイスをしています。

「お付き合いした年数と同じ時間をかけて、お別れをするくらいの覚悟をしてください。3日かけて登った山を、3時間で下ろうとすると滑落しますから」

手のひら返しのような態度をとれば、どんなことになるか。これもよく有名人の醜聞として見てきたはずです。人間関係のデザインは、つねに点検する必要があり、拙速で一方的な変更はトラブルのもとになるのです。 

相手がキブ・アンド・テイクをおろそかにし始めたときにも、デザインを変えなければなりません。

親しい友人にお金を貸したとします。約束の期限までに返済してきたなら、デザインを変える必要はありません。しかし、返済をせずに新たな借金を依頼してきたら、デザインを見直すべきでしょう。貸すのはやめて、少額を差し上げる関係へ変更するのも手でしょう。そうしないと、大変な地雷を踏むことになりかねません。

借金の返済をめぐっては、殺人事件に発展することすらあるのです。多くのケースでは、貸したほうが殺されてしまいます。借金の返済を求めると、借りたほうが憤慨するからでしょう。

「俺が苦しいのをわかっていて、なんで催促するんだ」

なんとも勝手な話ですが、貸してくれた時の優しさと、返済を求める冷たさのギャップに、腹を立てるのかもしれません。距離感の急激な、しかも一方的な変化は相手の過剰反応を招きやすいので要注意です。

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