筆者は「野球離れの危機」を訴える文章を発信しているが、必ずくるのが「野球が衰えても別に困らない」「これまで野球ばかりもてはやされていたのだから、少しくらいダメになったほうがいい」というコメントだ。野球は日本のナショナルパスタイムとして栄華を誇っていたが、それだけに反発も強かったのだ。
今、野球界はようやく「競技人口が減って大変だ」「ファンが減ったら困る」と言い始めているが、それは野球人たちが、自分たちが困るから「野球の復興を」と言い募っているにすぎない。
「野球界は相変わらず自分たちのことだけを考えている」という受け取り方もあるのだ。部外者からすれば、それに共鳴する筋合いはない。
社会をよくする取り組みの延長線上に野球がある
後発のサッカーはそうではなかった。Jリーグの百年構想はこのように言っている。
・サッカーに限らず、あなたがやりたい競技を楽しめるスポーツクラブをつくること。
・「観る」「する」「参加する」。スポーツを通して世代を超えた触れ合いの場を広げること。
Jリーグは「サッカーを盛んにする」ことを最優先にはしていない。「世代を超えた地域スポーツの振興のためにサッカーは尽力しますよ、だからサッカーも応援してください」というスタンスなのだ。つまり国民のスポーツ普及、健康増進という社会課題の延長線上にJリーグはある、と規定しているのだ。
だから、サッカーに興味がない人たちの賛同も得やすい。反発も少なく多くの人を巻き込みやすい。
野球界が、普及発展活動をするに際して「社会課題への挑戦」を標榜したのは、今回が初めてではないかと思う。社会をよくする取り組みの延長線上に野球復興があるといっているのだ。そういう点でも早稲田大の取り組みは特筆に値する。
「野球の底辺拡大」の活動は、全国で始まっている。
関係者は「Hello!WASEDA あそび場大開放!」のコンセプトと方法論から学べることは多いはずだ。
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