早稲田野球部OBが子供と野球遊びに全力の事情 「あそび場大開放!」の考えは社会課題への挑戦

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子供たちと楽しむ斎藤佑樹(筆者撮影)

このイベントを企画した、早稲田大学野球部OBで東京農業大学准教授の勝亦陽一氏は、

「『野球経験がほとんどない子供』には、ああしなさい、こうしなさいと指示はいっさいしていません。段ボールにボールを投げて倒す遊びや的あてなども用意しましたが、それに加わらなくて、好きな遊びをしてくれてもいい。それも野球へのアプローチになります」と語った。

子供たちを野球にいざなう「アプローチ」の取り組みは、各地で行われている。NPB球団傘下のアカデミーや大学、高校などが幼稚園、保育所や小学校でイベントを行っているが、それらと比較してもこの「早稲田方式」は、極めてユニークだ。

大人たちが「次はこうするんだよ」と指導するのではなく、子供たちが好き勝手に遊ぶことが、自然に「野球」につながるようになっている。大人は子供がケガをしないように見守るだけ。

早稲田大学野球部の現役選手やOBと子供たちが野球を楽しむこともできた(筆者撮影)

筆者の子供時代を振り返っても、野球は放課後の校庭や、町内の空き地に子供たちが自然発生的に集まってやったものだ。大人の指導者はおらず、子供たちは前の夜見たプロ野球のことを話しながら、好きな選手のフォームをまねたりしながら、知らず知らずのうちに「野球のしぐさ」を身に付けたものだ。

早稲田大学の取り組みは障壁が非常に低い。誰でも加わることができて、すぐに楽しめる。子供たちのアプローチとして優れているのではないか。

早稲田方式に注目が集まっている

この11月に大阪府守口市で、小学生を中心に野球の投球、捕球の基本を教える「大枝公園ベースボールアカデミー」が開催された。主催者でMLBタンパベイ・デビルレイズのトレーナーだった牛島詳力氏は、10月に早稲田の「あそび場開放」を参考にした「ベースボールナイト」を開催し160人の子供を集めた。

「野球教室」ではなく「野球遊び」の機会を与える早稲田方式のイベントは、次のステップへのアプローチとして極めて有効なのだ。他地域で野球の普及活動をする指導者からも「早稲田方式でやってみたい」という声が聞こえるようになった。

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