「イントゥ・ザ・スカイ」が描く19世紀の気球旅行 アマゾンスタジオ制作のアカデミー賞期待作

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頭の中の理論は完璧だが実務経験に乏しい堅物の気象学者グレーシャーと、自由奔放なように見えながらも、実は経験豊かで頼りになる気球操縦士のアメリア。まったく正反対の気質を持つ二人は、最初は反発しあってばかりだった。

気象学者・ジェームズ・グレーシャーを演じるのは、『ファンタスティック・ビースト』などでも活躍するエディ・レッドメイン ©2019 AMAZON CONTENT SERVICES LLC.

だが、上空は恐るべき嵐と極寒の世界。死の恐怖と隣り合わせとなったこの人類最大のミッションは、二人が協力しあわなければ成し遂げることができない。この正反対の二人がどのようにして人類の限界に挑んだのか――というのが本作の見どころとなる。

本作でダブル主演を務めたエディ・レッドメインとフェリシティ・ジョーンズは『博士と彼女のセオリー』でタッグを組んだ名コンビ。

両者が生み出した化学反応は映画の質を最大限に高め、レッドメインが主演男優賞を獲得、ジョーンズは主演女優賞にノミネートされた。この作品がきっかけで、二人は名実ともにトップ俳優の仲間入りを果たした。その後、レッドメインは『ファンタスティック・ビースト』シリーズで、そしてジョーンズは『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』といった超大作で主演を務めるなど、俳優としての地位を着実に固めている。

『博士と彼女のセオリー』の名コンビが復活

そんな二人が再びタッグを組む作品ともなれば、二人の相性のよさが感じられるような魅力的な作品でなければならない。そういう意味でこのグレーシャーとアメリアという役柄はまさに最適であった。

気球操縦士のアメリア・レンを演じるフェリシティ・ジョーンズは、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』などの超大作でも活躍する ©2019 AMAZON CONTENT SERVICES LLC.

ジョーンズはこう語る。「エディとわたしはまるでボクサーのようなの。私たちはまたリングに戻ることができてうれしかった。私たちはお互いを刺激して、つねにさまざまなことを試し、お互いが満足する演技を見つけるまで続けるの。そんな慣れ親しんだ仕事相手とまた共演できて、すばらしかったわ」。

監督はトム・ハーパー。「ピーキー・ブラインダーズ」「戦争と平和」といった注目のテレビドラマを手がけてきた俊英だ。また、脚本は、イギリスで権威のある演劇賞であるオリヴィエ賞を総なめにした舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」や、ジュリア・ロバーツ主演の映画『ワンダー 君は太陽』などを手がけたジャック・ソーンが担当している。

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