「イントゥ・ザ・スカイ」が描く19世紀の気球旅行 アマゾンスタジオ制作のアカデミー賞期待作
ハーパー監督は、本作を制作するにあたり、「観客が気球に乗っているような経験をさせたい」と思ったという。そのため、19世紀当時のガスで駆動する気球を再現したレプリカを建造。実際にそれを飛ばしたシーンも撮影している。
「気球での撮影は本当に特別だった。気球は何が起こるかわからないし、どこに着陸するかもわからないから、風に身を委ねるしかない」とジョーンズが語れば、レッドメインも「気球はつねに熱狂の的だった。ある日の朝、僕らはオックスフォードの上空を飛んでいた。人々は見上げて、僕らに手を振っていたんだ。どこに着陸するかわからなかったり、空中に身を任せたりすることが人々を魅了するんだよ」と付け加える。
アマゾンスタジオが制作・配給
高度1万メートルという世界を、われわれはなかなか想像できるものではないが、上空では酸素が薄くなり、そして凍るような寒さが襲ってくるという。撮影所では、その世界を再現するために、気球のまわりに冷却ボックスを設置。レッドメインもインタビューで「あれは演技じゃなくて、本当に凍えていたんだよ」と語るなど、役者陣は過酷な状況と戦っていた。そんな彼らのリアルな感情が、観ているほうにも伝わってくる。
本作は、アメリカのAmazon.comの映画部門であるアマゾンスタジオが制作に参加。同スタジオが配給を担当した、2016年の映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』や『セールスマン』では、配信系の映画会社としては初となるアカデミー賞での受賞を果たすなど、近年、存在感を見せている。それだけに、本作も早くもアカデミー賞への期待が高まっている。
都会の中で暮らしていると、なかなか空を見上げる機会は少なくなる。だが、そんな時代だからこそ、スクリーンを見上げながらこの映画を観ることで、彼らの空への憧憬が胸に迫ってくるようだ。
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