アルバイト情報誌で、不動産会社の事務の仕事を見つけた。そこでOLとして働くことにした。
立場上はアルバイトだが、仕事内容は正社員と変わらないものだった。
「最初はバレないか? と思ってビクビクしましたけど、まあ大丈夫そうだなってなりました。
学校を卒業した後、デザイン関係の就職活動もしたんですがうまくいかなくて、結局この会社に居続けることになりました。
『正社員にならないか?』って誘われましたけど断りました。正社員になるためには、戸籍謄本を出さなきゃならなくなるので」
能町さんはOLとして働きながらお金を貯めて、近い将来タイで性転換手術をしようと思った。性転換手術にはもろもろ合わせて150万円ほどかかることがわかった。
「150万円はなかなかキツイですよね。ダラダラ貯めてたらダメだ。一発当てなといけないな、と思いました」
ブログの書籍化で、性転換手術代を稼ごうともくろむ
その当時、出版業界では人気ブログを書籍化するのがはやっていた。恋愛、子育て、鬼嫁、などをテーマにした作品がよく売れていた。
「自分でもいけるんじゃないかなって思いました。
それで本にするのを前提でブログ『オカマだけどOLやってます。』を始めました」
つまり性転換手術の代金を稼ぐために、計算ずくでブログを始めたのだ。
能町さんのもくろみどおり、ブログは話題になり、ブログを始めて1年以内に出版社から声がかかった。
最初に声をかけてきた出版社から単行本は出すことに決めたが、それ以降に声をかけてきた出版社にも、
「イラストやコラムのお仕事があったらやります」
と伝えた。少しずつ仕事が来るようになり、副収入になった。
「そして本が出て、目標の金額が貯まった後に、やりたいことがほかにあるとウソをついて会社を辞めました。そしてタイに行って性転換手術をしました」
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