東大出た「桜蔭の問題児」の壮絶だった44年

東大女子が抱える母親との葛藤

「桜蔭の問題児」と呼ばれた女性は東大を卒業した後、どんな人生を送っているのか(写真はイメージです=写真:Graphs/PIXTA)
臨床心理士の信田さよ子氏が『母が重くてたまらない―墓守娘の嘆き』を上梓して母娘の問題を世に出したのは、2008年。10年を経た今でも、「あなたのためなのよ」と言う「母が重い」「母の愛がしんどい」と訴える女性たちは後を絶たない。大人になれば、少しは緩和されるものの、幼少期から思春期まで、母親から受けた“仕打ち”は心の傷として残っていた。
実は東京大学を出た中にも、母親との強烈な関係を抱えている女性は少なくない。今回は、東大卒女子30人以上に話を聞いてまとめた『東大を出たあの子は幸せになったのか「頭のいい女子」のその後を追った』の中から、そんな1人を紹介しよう。

桜蔭の「問題児」

「田中さんは、桜蔭の中ですごく目立っていました。彼女が歩くと、『あ、テレビに出た人だ』ってみんながこそこそ話す。有名人でしたよ」

桜蔭高校の後輩が、26年前の田中絵里緒(44歳)のことを憶えていた。高校時代は、“問題児”だったと自らが証言すとおり、切れ味の鋭いナイフを心の中に隠しているような女性――。そんな印象を持って彼女と会った。

福岡のホテルに、約束の時間に少し遅れて現れた田中は、フェミニンなワンピースを着ていて、かわいらしい感じの人だった。大きな袋の中から取り出したのは桜蔭の卒業アルバムだった。

「これが私、これが豊田(真由子、元衆議院議員)さん」

写真を指差しながら、教えてくれた。天下の桜蔭である。聡明で、まじめそうな女子の顔が並ぶ。教師も圧倒的に女性が多い。「勤勉・温雅・聡明であれ。責任を重んじ、礼儀を厚くし、よき社会人であれ」という校訓が厳格な女子高を思わせる。

「桜蔭時代は、外れもの。反抗し、事件も起こしました。高3のときに『天才・たけしの元気が出るテレビ‼』の“勉強して東大に入ろうね会”に出たんです。しかも東大に受かったら、バニーガール姿で、東大の校門前で歌って踊ります、って言いました(笑)。親も呼び出され、母には『どうしてこんなことするの!』と怒られました。親も教師も上から目線で物を言い、大人なんか古臭いわ、と反抗心が常にありました」

中学校でエロ本を学校に持っていって怒られる。校則違反のパーマをかける、色付きの髪飾りをして登校する。京都に修学旅行に行ったときは無断外出をして、京都で出会った男性とデートする。とにかく問題児だった。

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