ミシュランが「手打ち麺」ラーメンを認める理由

王道とかけ離れた1杯は敬遠され始めている

実は前年版の『ミシュランガイド東京2019』に掲載されていた汁なし担々麺や麻婆麺が人気のお店が最新版には掲載されなかったこともあり、醤油ラーメンをメインとするお店の相対的な存在感は高まったと言っていい。

オープンから1年足らずで掲載された亀有の「手打式超多加水麺ののくら」(筆者撮影)

あわせて最新版のラーメン部門で目につくのは、自家製の「手打ち麺」を使ったラーメン店である。昨年、「手打式超多加水麺ののくら」(亀有)がオープンから1年足らずで掲載されたのに続き、最新版で初掲載となった「純手打ち 麺と未来」(下北沢)、「西荻 燈」(西荻窪)がこれに当たる。

これらのお店は伝統的な日本の手仕事や白河ラーメンや佐野ラーメンといった歴史の長いご当地ラーメンの技法を応用し、日本らしいラーメンを作っている。

ミシュランガイドは店を評価するにあたって5つの評価基準を持っている。

1. 素材の質
2. 料理技術の高さ
3. 独創性
4. 価値に見合った価格
5. つねに安定した料理全体の一貫性

手打ち麺のお店は「料理技術の高さ」を高く評価されている。

最新版で初掲載となった下北沢の「純手打ち 麺と未来」(筆者撮影)

例えば最新版に初掲載された「麺と未来」の麺は、三重のもち性小麦「もち姫」を使用したもちもち感の強い極太麺だ。前年版から掲載されている「手打ち超多加水麺ののくら」の麺は加水率53〜57%という超多加水の極太麺で存在感がある。麺が特徴的なので「独創性」の部分ももちろん評価されているだろう。

日本のラーメンに求められる原点回帰

こういった店が出てきて世界のミシュランに認められ始めていることから、手打ち麺のブームが到来するかもしれない。工場で麺を手打ち「風」に作る技術も出てきているし、先行した手打ち麺のお店を模倣する動きもあるに違いない。

一方、実はミシュランガイド東京におけるラーメン部門の掲載店数は2017年をピークに毎年減り続けている。前年版に掲載されたうち、最新版では6店が姿を消した。

ミシュランガイドをはじめとした賞レースが激化し、ラーメンが海外にも注目されるようになったことを受け、ここ数年は、今までなかった新たなラーメンを作ろうとするあまりに、王道とはかけ離れた、ラーメンの枠からはみ出たようなメニューや奇抜な具材が乗った変わったラーメンが多数登場した。

もちろんおいしさを追求した結果であればいいのだが、話題性を重視していたお店が多かったことも事実で、そういったお店は一時的には話題になっても評価は続いていない。こうした中で「醤油ラーメン」や「手打ち麺」の評価が高まっていることは、日本のラーメンに原点回帰が求められていることを示唆しているようだ。

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