英オカド「日本のネットスーパーの機は熟した」 イオン提携、CEOが確信する日本市場の可能性

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ーーイオンとの提携は、どちらから持ちかけたのですか。

正直覚えていない。イオンとは何年も前から仲良くさせていただいている。例えると、何年も前から友達関係にあって、今年に入って付き合い始めて結婚したようなイメージ。

ーー「オカド」とイオンの創業家である「岡田」は発音が似ています。親近感があったのですか。

ティム・スタイナー/オカド・グループCEO。ゴールドマン・サックスで銀行員として8年間勤務後、ロンドン、香港、ニューヨーク拠点で債券部門に所属。2000年にオカドを設立(撮影:風間仁一郎)

イエス。最初からいい雰囲気だった。何よりも、お客さんに対して真剣に取り組んでいる。この社風は、イオンもわれわれも共通化していて、今回提携に至る非常に重要な要素になった。

日本は世界で一番大きな(ネットスーパーの)市場になる可能性がある。アメリカは人口が多いが、国土が広いため商圏が分散している。イギリスを基盤とするオカドは、いわば「島国で成功してきたモデル」なので、そのモデルを移植すれば、日本でもネットスーパーが伸びる可能性は非常に高い。特に東京は人口が多く、人口密度も高い。成長の可能性が期待できる。

倉庫配送と店舗配送をうまく組み合わせる

ーーイオン以外と組む選択肢はなかったのですか。

小売業界での知り合いはたくさんいるので、話をすることはある。日本企業だけでなく、海外企業とも日本におけるネットスーパーの展開について話をしたことはある。ただ、“真剣なデート”かというと、そういうことではない。われわれは、その市場のベストパートナーを見つけて、契約していくスタイルだ。

その国の企業との1社契約、独占パートナーシップは慎重に結んでいる。今回は独占パートナーシップだが、市場拡大の可能性がある国で、適切でないパートナーと組んではいけないので慎重に検討した。イオンには、小売業界における存在感や消費者との関係性、商品調達力、ローカルの展開力がある。社風も見た。

ーーイオンとオカドのネットスーパーの仕組みはまったく異なります。イオンは店舗から商品をピックアップして配送していますが、オカドは中央集約型倉庫から集中出荷しています。

われわれのビジネスモデルは大都市や人口密度の高い地域においては企業とよい関係が構築でき、効率もよい。ただ、中央集約型倉庫の建設には時間がかかるので、それが竣工するまでは既存の店舗を活用して、ネットスーパーを伸ばしていく。倉庫が完成し、本格的にビジネス展開できることが可能になった段階(イオンの中央集約型倉庫が完成するのは2023年予定)で、しっかりと需要を取り込んでいく。

一方で、倉庫から配送できない地域は店舗でカバーしていかなければいけない。倉庫配送と店舗配送をそれぞれ活用し、全体効率を高めていく必要がある。

また、ネットスーパーは1週間分をまとめ買いする顧客が多い。ネット以外で買わないかというとそうではなくて、リアル店舗でも買う。ほかの国のパートナー企業でも、ネットで買う顧客は実店舗でもかなりの金額を支払う。そういった意味で、リアル店舗の重要性は高い。

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