やる気満々な人ほど「目標達成」できない理由 あなたの計画を邪魔する「気負い」の正体

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そして、もう1つ、「気負い」を発見する方法があります。それが「しっかり」「きちんと」「必ず」といった「副詞」に着目することです。

副詞とは、ことの程度や状態を表す言葉です。また「徹底的に」「積極的に」など「〇〇的」という言葉がありますが、これも程度を表す言葉です(正確には、「〇〇的だ」という形容動詞の語尾が「に」になって副詞的な使い方がされています)。

この「副詞」が行動計画に出てきた場合、気負っている可能性がありますから、注意が必要です。実際の例としては、次のようなものです。

・しっかり営業活動を行う
・きちんと品質をチェックする
・積極的にメンバーと話をする

この計画には残念な点がある

このような副詞や副詞的な用法の言葉が入った行動計画をつくると「やるぞー!」という気持ちは伝わってきます。ところが残念ながら、これも実践されにくく、実践されたとしてもそれがどれくらい行われたかが不明な行動なのです。

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「しっかり営業活動を行う」とは、いったい何をどれくらい行うことを指しているのでしょう? 「積極的にメンバーと話す」というのは、メンバーとどれくらい話すことを言うのでしょうか? いずれも実践度合いがまったく不明です。これでは実践する内容にブレが生じてしまい、結局は継続できなくなってしまうのです。

中には「しっかり〇〇したうえできちんと××し、積極的に△△に努めて必ず◇◇する」とひとつの行動計画にいくつも副詞を盛り込んできて、やる気満々なことをアピールする人がいます。アピール自体は悪いこととは思いませんが、このような「盛り盛りさん」は、行動の実践度、とくに継続性については、かなり問題があります。

ここは少し落ち着いて、「どの程度やろうとしているか」を考えてみることが重要です。そこで、確実に実践され、継続されやすい行動計画にするために「副詞を数値化」してみましょう。数値化によって「どれくらい行うのか」という程度を明確にするのです。

例えば、次のように改良します。

・しっかり営業活動を行う
→1日3回、面談のアポイントメントの電話をする
・きちんと品質をチェックする
→朝と夕方の2回、チェック表を使って品質を確認する
・積極的にメンバーと話をする
→1日2回以上、プライベートなことも含めてメンバーと話す

このように、副詞を数値化することで、実践度が格段にアップしますし、周りにも「計画通りに進んでいるかどうか」が明確にわかるので、計画から遅れたとき、達していないときなどにも、周りから支援してもらいやすくなるのです。

やる気満々が気負いになっている場合は、行動計画の、「難易度」「数」「副詞」に注意をして計画を練り直すと、格段にラクして目標達成しやすくなります。ぜひ、来年の目標のための行動計画を立てるときの参考にしてみてください。

永谷 研一 行動科学専門家、発明家、株式会社ネットマン代表取締役社長

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ながや けんいち / Kenichi Nagaya

長崎大学講師、情報コミュニケーション学会理事。1966年、静岡県沼津市生まれ。学校や企業にITを活用した教育サービスを提供するパイオニア。校務・学習支援システム「Cラーニング」で全国の教育現場のDX化を推進。行動変容を促進するITシステムを考案・開発し、日米で特許を取得。米国でその功績が高く評価を受け、O-1ビザ(卓越能力保持者ビザ)が認められる。行動科学や認知心理学をベースに、1万5000人の行動変容データを検証・分析し、目標達成メソッド「PDCFAサイクル」を開発。多くの学校や企業の人材育成に採用されている。4人の子の父。著書は『1日5分 書けば明日が変わる できたことノート』『科学的にラクして達成する技術』など。YouTube(永谷研一チャンネル)、note(永谷研一@できたことノート&手帳

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