なぜ香川は、これほど苦戦しているのか? サラブレッド香川に足りないもの

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香川は日本のラッキーボーイになる

ここで話がガラッと変わるが、この所属クラブでの苦境は、約3カ月後に迫ったブラジルW杯にどう影響するだろうか? 試合勘が鈍ることを心配する声も上がっている。

個人的にはこの点はまったく不安視していない。

2002年W杯のとき、日本代表で最も活躍したのは、当時アーセナルでほとんど出場機会がなかった稲本潤一だった。なぜか? 所属クラブに超一流選手がそろっており、日々、高いレベルに触れることができていたからだ。大会後、稲本は「アーセナルでは、毎日がW杯のようだった」と語った。アーセナルのようなビッグクラブにいれば、下手な試合よりも、よほど感覚が研ぎすまされるのである。
W杯はシーズン終了後に行われるため、1年間フルで戦った選手が疲弊していて力を発揮できないことがある。中村俊輔が2006年W杯も2010年W杯も、トップコンディションで臨めなかったのは、日本サッカー界のトップランナーとして高いレベルに挑み続け、疲労が蓄積されていたことが一因だった。もちろん所属するクラブで出場できないのは辛いことだが、W杯を意識して焦る必要はない。試合勘に関しても、W杯前の準備期間に親善試合を行うので問題ないはずだ。

だから、大胆に予想したい。

香川は2002年W杯の稲本のように、日本代表のラッキーボーイになる、と。少なくともグループリーグで2得点。ブラジル人も驚くような細かいタッチとステップで、背の高いコートジボワールやギリシアの選手たちを翻弄してくれるはずだ。

木崎 伸也 スポーツライター

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きざき しんや / Shinya Kizaki

1975年東京都生まれ。中央大学大学院理工学研究科物理学専攻修士課程修了。2002年夏にオランダに移住し、翌年からドイツを拠点に活動。高原直泰や稲本潤一などの日本人選手を中心に、欧州サッカーを取材した。2009年2月に日本に帰国し、『Number』『週刊東洋経済』『週刊サッカーダイジェスト』『サッカー批評』『フットボールサミット』などに寄稿。おもな著書に『サッカーの見方は1日で変えられる』(東洋経済新報社)、『クライフ哲学ノススメ 試合の流れを読む14の鉄則』(サッカー小僧新書)など。

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