「光るウェディングドレス」作る45歳女性の人生 純白にアート浮かび上がるサプライズを演出
「感動を与えるドレスを作りたい」という発想が出発点だった。
富山県富山市でウェディングドレスのオーダーを手がける広野加織さん(45歳)が制作し、実用新案権を取得した「マジカルアート・ストーリードレス」は、結婚式のサプライズを演出する。LEDライトを当てるとアートが浮かび上がり、輝くドレスである。どんな思いで考案したのか。
「人生の思いを描いたドレス、いいなあ」
「アンジェリーナ・ジョリーさんが結婚式のとき、子どもたちのイラストが描かれたドレスを着ていたのを見て、ジーンときたんです。これまでの人生についての思いを描いたドレス、いいなあって思いました」
ただし、広野さんは子どもの絵のような奇抜なものではなく、おしゃれなアートでドレスを彩りたいと考えた。そこで、高級ブランドの広告などを手がけるファッションイラスト作家のSamille(さみぃゆ)さんに依頼し、花嫁とその兄と姉、結婚式を挙げたハワイの風景を描いてもらった。
苦心したのは、絵を描く特殊なインクをどうやって入手するかである。
広野さんはユニークな商品を開発する企業を紹介するテレビ番組を見ていて偶然、「フラッシュを焚いて撮影すると絵が写る」という特殊なインクの存在を知った。「これを使いたい」と製造元に伝えると、商社向けの商品であり、販売はできないと断られた。
「ドレスを制作するために特殊なインクが必要であること、一流作家による絵を描くことなどを伝えて粘り強く交渉し、地元の営業担当者の支援もいただいて、最後は使わせていただけるようになりました」
絵は縫製を終えたドレスに、作家が一筆一筆描く。Samilleさん以外にもイラストレーターや画家など個性の異なる作家に依頼し、花嫁の好みの作品を描いてもらえるようにした。