「レアな人材」になった人が歩んできた意外な道 会社から出て生きて行くための秘訣

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ピョートル・フェリクス・グジバチさん(撮影:梅谷秀司)

ピョートル:ぼくも転職を繰り返してきましたけど、国会議員秘書から始まった小宮山さんの職歴は幅広くて、かなりレアな人材だと思います(笑)。自分を理解したうえで、外に向かってアピールして「自己開示」してきたところもお互い似ていますよね。そして、自分がやりたいことで社会のニーズがある価値を提供して、報酬を得る。

これは従来の、「対価をもらって企業のために何かをする」という働き方とは対極の考え方で、ぼくは「自己表現」と呼んでいます。その「自己表現」の活動が、自分にしかできないこととして周りに認められて、感謝されるようになると、「自己実現」のステージに到達できる。「自己実現」ができるようになると、仕事がどんどん楽しくなって、まるで遊びながら働いているような感覚になれるのです。

小宮山:わかります。ただ、その4ステップを頭では理解はできていても、なかなか簡単ではないかもしれません。今いるコンフォートゾーン(居心地のいい楽な場所)から抜け出さない限り、何も変わらないのですが……。

仕事でのアクセルとブレーキの使い方

ピョートル:行動を起こすためには、もう1つ大事なことがあります。それは、アクセルとブレーキにたとえるとわかりやすいかもしれません。

昔、ユダヤ人の方から聞いた、ラビ(ユダヤ教指導者)の面白い話があります。ラビはいつも黒くて長いコートを着ているんですが、いつも両ポケットに手を入れているラビがいて、ある日、弟子が、「なんでいつもポケットに両手を入れているんですか?」と聞いたそうです。すると何と答えたと思いますか?

小宮山:何か大切なものが入っている?

ピョートル:そうです。そのラビは、両ポケットから2枚の紙を出しました。直訳すると難しいんですが、1枚には「私は神様だ。私は最高に価値ある人間だ」と書いてあり、もう1枚には「私はクズだ。私は何の価値もない人間だ」と書いてあった。いつも左右の手でその2枚を握りしめて、忘れないためにポケットに手を入れている、という話なのです。

小宮山:まさに、アクセルとブレーキですね。

ピョートル:仕事の成功も、ぼくはアクセルとブレーキが同時に必要だと思っているんですね。「まだまだいける!」とフレキシブルに突き進む自信と勇気と、「いや、まだまだ」と思って石橋をたたく慎重さと危機意識。その2つの間を上手に行き来しなくちゃいけない。

そのとき、法律の壁が問題になる場合もあります。例えば、「Airbnb」をはじめとした民泊は、常識破りのビジネスと言われながらも世界中にどんどん浸透して、後から法律が作られましたよね。どっちがいい悪いじゃなく、グレーゾーンと思われることでも、ある程度やってみないことには限界もわからない。

自分の市場価値を高める場合も、アクセルとブレーキをうまく併用しながら、固定観念にとらわれずにやりたいことを究めていくことが大事だと思うのです。

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