セブンとファミマ「曲がり角対策」の決定的な差 だから2番手は加盟店への融和政策を採る
コンビニで食品の膨大な廃棄ロスが発生しているという社会問題は、これまで公然の秘密というか、あまり事を荒立てて口にするような話ではないように取り扱われてきました。その1つの背景要因としてコンビニ会計があるといわれています。
仕入れたお弁当やおにぎりが売れ残って廃棄処分になっても、コンビニ本部と加盟店の間の契約では本部の懐がそれほど痛まないように会計ルールが決められています。つまり本部が加盟店に商品を仕入れさせれば仕入れさせるほど儲かり、それが売れ残っても損の多くは加盟店がかぶるというのが従来のルールでした。
セブン本部社員がオーナーに無断で発注
11月13日にセブンの本部社員がオーナー不在時にオーナーに無断でおでんの発注をしていたことがニュースになりました。社員による不正行為の発覚です。こういった行為がほかの加盟店でも横行していたという一部報道もありましたが、発注しただけ自分の成績になり、それが売れ残っても本部の懐が痛まないという制度の下で起きた事件です。
コンプライアンスのルールで言えば、ノルマをかかえた本部社員による不正が起こりやすい環境を経営陣が放置していたと断罪されるケースです。
たまたまこのセブンの不正報道と時期が重なったわけではありますが、ファミマはこのような不正やオーナーの疲弊が起きやすい仕組みについて、対策を用意していたということになります。
もう1つ、ファミマの方針発表で目を引いたのが、本部社員800人に希望退職を募るという計画です。これは今後の厳しい経営環境を見据えてチェーン全体の競争力を高めるためだと発表されています。
コンビニ経営者にとってこれから先、人口減、高齢化、同業種との過当競争、ネット通販との顧客争奪などさまざまな要因を考えると、コンビニ経営が厳しさを増すのは自明だという前提があります。
その時代を迎えるにあたってチェーン経営全体の競争力を高めるためには、加盟店支援の条件をよくして加盟店が経営しやすくすることと、本部をスリム化しながら生産性をより高めることで本部の力を高めることが必要だとファミマは判断しているのです。
私のような経営コンサルタントの立場で言えば、ファミマの澤田貴司社長が下したこの決定は非常に理にかなっていると思います。一方、意外だとも感じました。それは業界トップのセブンがその逆の方針を貫いているからです。
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