セブンとファミマ「曲がり角対策」の決定的な差 だから2番手は加盟店への融和政策を採る

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セブンでも加盟店オーナーから現場の悲鳴が聞こえてきていて、何らかの改革に迫られているのはファミマとまったく同じですが、セブンの方針はファミマとは対照的です。

セブンでも時短の実験を行いながら方向を模索していますが、実際に時短営業に切り替えた店舗は8店舗、2020年1月の見通しでも75店舗程度にとどまる見通しのようです。時短に踏み切るには本部との合意が必要で、本部のオーナーに対する立場は強い。

このスタンスがこれまでのセブンを支えてきたという事実が、ファミマと対照的な方針につながっていると私は思います。社員もオーナーもギリギリまで頑張るのがセブンの企業文化。本部社員の無断発注事件はその表れといえます。

セブンはここ数年でも年700店程度を閉鎖・移転

セブンは2019年下期以降に1000店舗の閉鎖もしくは移転を表明していますが、セブンではここ数年でも新規出店が勝り店舗ネットワークが純増になる一方で、年700店舗ぐらいのペースで閉鎖・移転をしています。もともと不採算店に対する考え方は厳格なのです。

とはいえ、セブンとファミマの経営はどちらがよいとも言い切れません。セブンはコンビニ業界において圧倒的な好業績企業であり、消費者からの支持も最も高い企業です。冷徹に言えばセブンの好業績・高満足度の裏側には厳格さがあり、万年2番手のファミマはそれとは違う融和政策をとらざるをえないという見方もできるわけです。

いずれにしてもこれから先、2020年代にはコンビニ業界全体の成長が止まり、成熟期に入る可能性が高いでしょう。そのときに本部社員にも加盟店オーナーにも強いプレッシャーをかけてそれを力に転換させるセブンの経営と、本部を筋肉質にして加盟店にエネルギーを注入するファミマの経営のどちらが勝ち残るのでしょうか。働き方改革に関わるすべての経済人が注目すべきポイントだと私は思います。

鈴木 貴博 経済評論家、百年コンサルティング代表

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すずき たかひろ / Takahiro Suzuki

東京大学工学部物理工学科卒。ボストンコンサルティンググループ、ネットイヤーグループ(東証マザーズ上場)を経て2003年に独立。人材企業やIT企業の戦略コンサルティングの傍ら、経済評論家として活躍。人工知能が経済に与える影響についての論客としても知られる。著書に日本経済予言の書 2020年代、不安な未来の読み解き方』(PHP)、『仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』(講談社)、『戦略思考トレーニングシリーズ』(日経文庫)などがある。BS朝日『モノシリスト』準レギュラーなどテレビ出演も多い。オスカープロモーション所属。

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