美容整形とセックス、過激な描写が物議を醸す 人はなぜ「美」にこれほどまで執着するのか?

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たとえば、生まれ変わった姿で同窓会に出席したいという理由で、コツコツと貯金してやっとのことでクリニックを訪れた女性。彼女の焦燥感は常軌を逸していて、最初の問診を通して、医院で雇った精神分析医グレースとショーンは、共にかかわらないほうがよいと判断して手術をやんわり断る。すると、患者は怒り狂って、時間がない、バカにされた、私の気持ちは誰にもわからないと錯乱状態に。はたして、美しいモデルや女優たちの雑誌の切り抜きや写真が壁いっぱいに貼られた彼女の部屋が映し出された瞬間、背筋にすっと冷たいものが走る。

同窓会でいい格好を見せようと思うのは、女性ならずとも誰もが考えることではないだろうか? あこがれの女優や理想とするモデルの切り抜きや写真を手元に置いて、自分磨きの励みにする行為も珍しくはない。だが、この患者は明らかに行きすぎており、その心の闇は深くて暗いのだった。

モラルに葛藤する医師、美の創造に快感を覚える医師

対照的なショーン(右)とクリスチャン(左)

ショーンはこうした患者に遭遇するたびに、整形外科医としての仕事と自身のモラルの基準の間で、つねに葛藤する。一方のクリスチャンは、もっとさばけている。胸も、尻も、鼻も目も、本物だろうが偽物だろうが、彼にとって美しいものは美しく、自分の手で美を創造することにエゴイスティックな快感もある。自分が寝た女の裸体を眺めながら、「こことここを、こう直せば君は完璧な女性になる」などと軽く言って、相手をその気にさせてクライアントにしてしまう。

女性をモノ扱いするようなクリスチャンの言動に辟易としつつ、「もう少しで完璧な美が手に入る」と言われれば、その気になる女性もいるかもしれない。特に、舞台となっている太陽が降り注ぐリゾート地マイアミでは、ポルノ産業がはびこり、一晩で大金を稼ぐ高級娼婦から、暇を持て余すリッチな未亡人、さらには麻薬を扱う犯罪組織まで(犯罪者が顔を整形する必要が生じるケースが少なくない)、こう言ってはなんだが、いろんな意味で美容整形の需要には事欠かないらしい。

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