「子どもの問題」は大人が勝手に作り出している 「小1プロブレム」は本当にプロブレムか

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小学1年生の担任はきちんと座ることができない子どもを問題と捉えて、きちんと座れる学級にしなくてはいけないというプレッシャーを抱えます。

幼稚園や保育園では、小学校に入学するまでにきちんと座れる子どもたちにしなくてはならないというプレッシャーがかかってくることになります。

当然、座っていられない子どもたちも、問題のある子と認識されるわけですから、つらいでしょう。

しかし、外国などでは幼い子どもはじっとしていられないものだということを前提に、さまざまな形状や質の椅子を用意しているところもあるほどですし、そもそも授業が子どもにとって面白いものであれば、立ち歩かないかもしれません。

子どもの問題とされていることは、ほとんどがこのような構図で生まれています。

「不登校」という言葉も同様で、学校に行くことが当たり前ではなく、「大人になるための手段の1つにすぎない」という認識になれば(もしくはホームスクーリングでもいいという認識になれば)、不登校という概念そのものがなくなるでしょう。

家庭ではとくに、親がよかれと思って掛けた言葉が、子どもの問題をつくっていくということもあります。

子どもの意識に問題を刷り込まない

例えば、高校受験を控えた子どもに対して、「受験勉強、大変でしょう?」「疲れたでしょう?」とねぎらいの言葉を掛けることがあるかと思います。

もちろん、本当に子どもが疲れているときに、そのような言葉を掛けたくなる気持ちはわかるのですが、こういった言葉が、「受験勉強は大変だ」と刷り込んだり、そこまで疲れていなくても「確かに疲れたかもしれない」という意識を与えたりと、子どもの意識を変えてしまうこともありうるのです。

ですから、子どもが気にしていないことは、あえて指摘しないほうがいいでしょう。

みなさんがもし、お子さんの問題だと認識している点があるとするならば、それが何かによってつくり上げられた問題ではないか、視野を広げてみる必要があるかもしれません。

以前、発達障害の診断がおりた子どもと話したときに、こんなことがありました。

その子の親御さんは「この子は、発達に特性があって、コミュニケーション能力に課題があるんです」と言っていました。

しかし、その子は私とはよく話していたので、次のように伝えました。

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