「インスタ映え」に若者が超熱中する社会的背景 なぜ人はパンケーキ写真を投稿するのか
こうした戦略が功を奏し、アメリカ国内で感度の高いユーザー層に根付き、日本でもそうした流行に敏感で、とくにファッション感度が高い女性ユーザー層の間で人気が出始めていったのだった。コアなユーザーに刺さり広がっていったという構造は、フェイスブックのときと同様でもある。
そのようなクリエーティブな出自も相まって、インスタグラムにはオシャレな写真をシェアしなければならない、というユーザーたちの間でのコード(法律や規則ではない、社会的・文化的に定められた作法)があり、写真の構図も似通ってくるという現象が見られた。
写真の構図は4タイプに分かれる
メディア理論家のレフ・マノヴィッチ(2018)によれば、4つのタイプがある。
②ファーストパーソン
③ミニマリズム
④シーン
簡潔に説明を加えると、①は高低差がないので構図がシンプルになり、見せたいものを見せられる。③のミニマリズムは背景をシンプルに保ち、画面を写したいものだけにフォーカスできるよう「最小限の要素(ミニマル)にする」ということ。スマホの小さな画面で写真を見るというUX(User Experience:ユーザーの体験の質)を踏まえたうえでの最適化という意味では①と③には共通性がある。
筆者が考えるこの中で最も重要な概念である②は、一人称視点(ファーストパーソン)、つまりスマホを持った撮影者の視点で撮られた写真を意味する。例えば洋服の写真であれば、モデルに着せて第三者のカメラマンが撮るのではなく、自分の視点で着ているところを撮影するようなあり方を指す。
④のシーンもこれと似た概念で、洋服の例で話を続けると、どこかのスタジオで撮るものではなく、実際にその洋服がどんな場所で着れば最も映えるものになるのか、すてきな経験になるのか、それを満たす場所・瞬間(シーン)で撮るべしということだ。
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