「インスタ映え」に若者が超熱中する社会的背景 なぜ人はパンケーキ写真を投稿するのか

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インスタグラムが個人の体験/経験のシェアの場であるという特性がここには反映されているのだ。スマホで見るアプリであること、一人ひとりの体験を解像度高く伝えること、その原則がこれらのタイプ分けからも見えてくるだろう。

実際に、オシャレなアイテム、流行の店やレストラン・カフェに行って写真を撮るとき、そのような構図がそこかしこに見えてくる。その特性ゆえに、そこで行われるコミュニケーションにも逆説的に縛りがかかり、そのコードをユーザーが内面化して発信するとどんどんビジュアルが似たようなものになってくる。

そのようにして、さらにコードが強まっていくという循環がユーザーの憧れのイメージを刺激していくとともに、「こうありたい」とか「こういうことがしたい」というニーズや承認欲求が、ビジュアルのレベルで定着していくのだ。

人々が「インスタ映え」を気にする理由

「パンケーキ」「ピンクの壁」「チームラボプラネッツ」のように、せっかくフォトジェニックなスポットに行ったら、そこでの体験をきれいな形で残したい気持ちはあるし、ネタ的な意味合いも含めて「いいね!」が付きやすくなってうれしいのも確かではある。

『SNS変遷史 「いいね!」でつながる社会のゆくえ』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

「いいね!」を求めてしまう気持ちは否定できないし、SNS自体がそのようなユーザー側の心理を促進するような仕組みをつくっている。

さらに、受け手の視点で考えると、SNSでの投稿を参考にする割合が高まっていることも大切な要因だ。

友達や知り合いがシェアしたものに影響を受けて物を買ったり、その場所へ遊びに行ったりすることが増えているからこそ、みんな自分もそのようにするという影響関係がある。

見られている感覚というのは重要で、それがなくなればユーザーのシェアは止まってしまう。とくにユーザーが増えれば増えるほど、自分の投稿が見られる経験が得にくくなるため、より重要性は高まっていく。そのような背景のもとでも、「映え」を求める気持ちが喚起される。

天野 彬 電通メディアイノベーションラボ主任研究員

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あまの あきら / Akira Amano

1986年生まれ。一橋大学社会学部卒業、東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。若年層のメディア行動やSNSの動向に関する研究/執筆/コンサルティングを専門とする。経済番組でのコメンテーターや各種講演でのスピーカーなど経験多数。著書に、『シェアしたがる心理~SNSの情報環境を読み解く7つの視点~』(2017年、宣伝会議)、『情報メディア白書』(2016~2019年版、共著、ダイヤモンド社)がある。Twitter: @akira_amano

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