赤字のソフトバンクが宿す「WeWork」3つの懸念

孫社長の「誤差発言」多用がどうも気になる

ところが、実際にはWeWorkはサブリース会社としての性格が強く、実は多分に過大な「不動産リスク」を伴いながら成長・拡大してきたとなれば、一般のサブリース会社と大差はない、むしろ過大なリスクを背負った不動産会社なのではないか、となるわけです。私は、そうした市場センチメントがWeWorkのIPO延期の大きな要因であったと考えています。

IPO目論見書「FORM S-1」(2019年8月14日付)によれば、WeWorkの特徴は、自らを「スペース、コミュニティー、サービス、テクノロジーを統合するグローバル・プラットフォーム」と位置付けているところにあります。

グローバル・プラットフォームとは、不動産利用のサービス化である「Space as a Service」を土台に、第三者と一緒に構築するエコシステムによって、ライフスタイル、健康、家族サービス、フード、教育、保険、テクノロジー、ヒューマンリソース、エンターテインメントなどの領域で会員に対してワンストップサービスを提供するというもの。

そこでは、ビッグデータを収集しAIがこれを解析することによって、働く人々がワークスペースでどのように行動するのかについて理解を深めます。そして、そこで得られた知見をプラットフォームの強化、外部へオフィス・ソリューションを提供する「Powered by We」の展開などプロダクトやサービスの進化に結び付けるとしています。

WeWorkはテクノロジー企業なのか。ソフトバンクグループによるWeWorkへのコミットメントの成否を予測するにあたってはこの点を注意深く見ていく必要があると思いますが、孫社長からの説明は「テクノロジー企業としての側面は(WeWorkが利益体質に改善されてからの)応用段階になってから」というものだけでした。

言わば現時点においてはテクノロジー企業ではないことを認めたような発言については、これまでテクノロジー企業であると主張してきた説明責任が十分に履行されていないものであると残念に思いました。

不動産リスクとしての「WeWork問題」

第3に、不動産リスクとしての「WeWork問題」です。

現在、WeWorkのリースのコミットメント金額は472億ドル。952億ドルのペトロブラス、513億ドルのシノペックに次いで、世界第3位のテナント企業になっています(2019年9月2日付Bloomberg Opinion記事)。

もし仮にWeWorkが事業を継続できないような事態にでもなれば、不動産オーナー、テナント、投資家など商業不動産市場全体へ深刻な影響が及ぶことは必至です。

アメリカにおいては、不動産市場で成長するWeWorkのようなビジネスモデルによって、不況時に商業用不動産が被る損失可能性について警鐘も鳴らされています。また、そうしたビジネスモデルが小規模事業者向けの短期リースに依存することで、不動産オーナー向け銀行融資がこれまで以上に多くのデフォルトを発生させかねないとも言われています。

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