赤字のソフトバンクが宿す「WeWork」3つの懸念

孫社長の「誤差発言」多用がどうも気になる

第1に、孫社長は損益計算書(P/L)に注目していますが、それもさることながら、貸借対照表(B/S=バランスシート)の問題でもあるということです。

WeWorkをサブリース会社(不動産管理会社などが不動産を一括で借り上げ、それを転貸することを主体とする)として見るとき、そのビジネスモデルは、スペースを借り上げることによって契約期間中は賃料を支払わなければならないという債務を負う一方で、いかにそのスペースに付加価値をつけてより高い賃料で貸し出すことができるのか、というシンプルな構造に集約されることがわかります。

そのスペースの転貸に当たって稼働率が悪く収入が低ければ、当然、債務問題が発生します。とくに、WeWorkは長期リースでスペースを借り上げて、それを改装、付加価値を付けたうえで、最短1カ月単位で貸し出すというビジネスモデルであり、景気後退局面では債権債務のミスマッチ問題や不稼働リスクはより高まることが懸念されているのです。

2019年6月末時点で、WeWorkの親会社であるウィーカンパニーのバランスシートには約151億ドルのリース資産と約179億ドルの長期リース負債が計上されています。また、事実上債務超過の状態にもあるとも分析されており、非常に脆弱なバランスシートとなっています。

WeWorkはテクノロジー企業なのか?

第2に、「WeWorkはテクノロジー企業なのか」という論点です。

孫社長は、WeWorkの追加支援に際して、取得価額の110.0ドル/株から11.6ドル/株への変更を強調しています。しかし、そもそも、なぜ想定時価総額でIPOが実行できなかったのか、なぜ投資家を募れなかったのか。

それは、もちろん利益が出ておらず、赤字体質であることも影響しているでしょう。しかし、それ以上に、「WeWorkはテクノロジー企業なのか」という観点が重要だったのではないでしょうか。WeWorkはテクノロジー企業として成長重視・拡大路線をとり、周りもそれを受け入れてきました。ソフトバンクグループも、「WeWorkはテクノロジー企業である」としてAI群戦略のもと資金を投下してきました。

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