地方都市で号砲、オフィスビル開発競争の行方 オフィスビル誘致にあの手この手
古いオフィスビルは天井高が低く、フロアの中心に太い柱が鎮座するなど使い勝手も良くない。スペックが高くフロアも広い新築ビルが誕生すれば、防災力が向上するだけでなく企業誘致にも追い風。再開発によって一挙両得を狙う構えだ。
「札仙広福」の反攻
大胆な規制緩和は仙台市に限らない。札幌、広島、福岡……。三大都市圏に次ぐ地方の中核都市である「札仙広福」では、オフィスビルをめぐる規制緩和ラッシュの様相を呈する。
機先を制したのは福岡市だ。2015年2月、「天神ビッグバン」の名の下に、博多駅からほど近いビジネス街である天神駅周辺での開発規制を大幅に緩和することを発表。2024年までに30棟のビル建て替えを主導すると宣言し、福岡空港に隣接することから低く抑えられていた容積率の緩和や、市内進出企業に対する交付金を拡充を進める。
2021年9月には、天神ビッグバン第1号である「天神ビジネスセンター(仮称)」が竣工する予定だ。地元デベロッパーである福岡地所が主導し、地上19階建ての高層ビルが誕生する。福岡市自身も、市役所別館を閉館してデベロッパーに建て替えを促す方針のようだ。
広島市では昨年10月、中心部である紙屋町・八丁堀地区が国の「都市再生緊急整備地域」に指定された。これによって、地区内での開発に際して容積率の緩和や税制優遇が受けられるようになった。
指定を受けて松井一實広島市長は、「更新時期を迎える建築物の建て替えをしなければいけない」と話し、地元では早速、駅ビルや百貨店、商工会議所ビルなどの建て替え話が持ち上がっている。オフィス需給も逼迫しており、今月末に竣工する三菱地所の「新広島ビルディング」は満室での開業となる予定だ。
札幌市は昨年12月、札幌駅周辺での開発方針を公表した。こちらも仙台市同様、中心部の建物のうち約4割が旧耐震基準に基づいて建てられたもので、再開発の機運が高まっていた。スペックの高いオフィスビルやホテル、オープンスペースなど整備すると容積率が加算されるようになる。駅前ではJR北海道が高層ビルの開発を計画しており、今回の規制緩和の対象にもなりそうだ。
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