地方都市で号砲、オフィスビル開発競争の行方

オフィスビル誘致にあの手この手

仙台市は7月、大胆な規制緩和をブチ上げた(撮影:今井康一)

不動産市況の回復が、地方部でも鮮明になってきた。9月に発表された都道府県地価調査では、商業地の値がバブル景気に沸いた1991年以来、28年ぶりに上昇に転じた。

復調の一因として、調査にあたった国土交通省は「オフィス需要の堅調さがある」と総括する。長らく停滞していた地方都市の開発が動き出した背景には、地方自治体による熱烈な「オフィスビル誘致合戦」がある。

仙台市の秘策

「震災復興の次なるステージを目指して、『せんだい都心再構築プロジェクト』を始動いたします」ーー。

今年7月、仙台市役所での定例記者会見。冒頭で郡和子市長がブチ上げたのは、仙台駅周辺でのビル開発に関する規制を大幅に緩和する構想だった。事業費の補助や駐車場附置義務の緩和などのメニューが並び、「全体として100億円を超える支援になる」(郡市長)。

とりわけ注目を浴びたのが、敷地面積に対する延べ床面積の割合である容積率の緩和だ。広場や周辺道路の整備に加えて、スペックの高いオフィスビルを開発する場合には、現状の800%から最大1600%へと緩和される。デベロッパーにとっての事業採算性は大幅に向上するため、開発の呼び水にしていきたい考えだ。さらにこれらの施策はあくまで「第1弾」で、今後も二の矢、三の矢を放っていくという。

大盤振る舞いな施策だが、裏を返せば、そうまでしてでも中心部のスクラップアンドビルドを急ぎたい市の焦りもにじむ。市によれば、仙台市中心部での建物の6割が築30年を経過し、うち4割は1981年以前の古い耐震基準(旧耐震基準)に沿って建てられた。

こうした築年数の経ったビル(築古ビル)は、企業誘致の障壁にもなっていた。仙台市中心部のオフィス空室率は5%を切る歴史的な低水準にあるが、「現在残っているのは20~30坪など小さいフロアだ。今後空室率が急激に改善するとは考えづらく、緩やかに推移するだろう」(三鬼商事の三浦聖一仙台支店長)。

仙台には「市内で300坪ほどのオフィスがあれば入居したいという声があるが、なかなか案内できる物件がない」(山田健一・仙台市企業立地課長)という事情もあった。

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